雑記 (42)

米田の補題 (Yoneda Lemma)  \mathrm{Nat}(\mathrm{Hom}(A, -), F) \simeq F(A) の証明。

まず自然変換の射の集合 \mathrm{Nat}(\mathrm{Hom}(A,-) \to F) から、自然変換  s: \mathrm{Hom}(A, -) \to F を一つ取り出す。

自然変換はそもそもは、「それぞれの対象に対してそれぞれの射を定める」対応のことだから*1、圏  \mathcal{C} の対象 A に対応する射、

 s_A : \mathrm{Hom}(A, A) \to F(A)

は当然、定義することができる。

恒等写像  1_A \in \mathrm{Hom}(A,A) だから、 s_A(1_A) \in F(A) である。

したがって、同型を与える写像の候補として、

 \Phi: \mathrm{Nat}(\mathrm{Hom}(A,-) \to F) \longrightarrow F(A)

 s  \mapsto s_A(1_A)

として、写像  \Phi を定め、これが全単射であることを証明する。

1) 単射であること

 s, t \in \mathrm{Nat}(\mathrm{Hom}(A,-) \to F)とし、
 \Phi(s) = \Phi(t)を仮定する。そうすると s_A(1_A) = t_A(1_A) である。

 \mathcal{C} において

とする。ここで  B は任意の対象、 f は任意の射である。これを二つの関手、 \mathrm{Hom} (A,-), F で変換する。

上図の自然変換の可換性から、

 s_B(f) \\
= s_B \circ f \circ 1_A\\
= F(f) \circ s_A \circ 1_A

 s_A(1_A) = t_A(1_A) から

 s_B(f) \\
= F(f) \circ t_A \circ 1_A\\
= t_B \circ f \circ 1_A\\
= t_B(f)

となり、 s_B(f) = t_B(f) がいえ、 B, f は任意だったので  s = t となる。以上、 \Phi(s) = \Phi(t) ならば  s = t なので、 \Phi単射である。

2) 全射であること

 x \in F(A) とする。自然変換  s: \mathrm{Hom}(A, -) \to F で、 x = s_A(1_A) なる  s が存在することを示す。

 s_B(f) = F(f)(x) とすると、
 s_A(1_A)=F(1_A)(x)=1_{F(A)}(x) = x

である。この定義が、自然変換の可換性を満たすことをチェックする。

 F は関手だから、

 F(g)(s_B(f))=F(g)(F(f(x))=F(g \circ f)(x)

また、

 s_C(g \circ f)=F(g \circ f)(x)

なので可換である。以上から、自然変換  s: \mathrm{Hom}(A, -) \to F で、 x = s_A(1_A) なる  s が存在するので  \Phi全射である。//

*1: F,G が圏  \mathcal{C} から 圏  \mathcal{D} の関手だとすると、 t F から  G への自然変換であるとは、 1)  t は、圏  \mathcal{C} の各対象  X に対して 圏  \mathcal{D} の射  t_X: F(X) \to G(X) を対応させる。 2)圏  \mathcal{C} の各射  f: X \to Y について、 F(X) \to G(Y) の射として、  t_Y \circ F(f) = G(f) \circ  t_X が成り立つことをいう。