雑記 (31)

ところが、一般の非可換な群の場合は、前の記事のようにはならない。

上の図で、短完全列であることから、 G_1 G_2正規部分群である。最初の方の図で、 s\circ f = id_{G_1} を満たす全準同型写像  s が存在するならば、 G_3 \simeq \mathrm{Im}\,t = \mathrm{Ker}\, s であることから、 G_3正規部分群である。したがって、 G_2 は直和 (直積) 分解となる。

一方、2 番目の図で、 g\circ t = id_{G_3} が存在していても   \mathrm{Im}\,t が一般には、 G_2正規部分群とはならず、 G_2 は「半直積 (semidirect product)」 G_1 \rtimes G_3 に同型となる。

「半直積」は「直積」の一般化であって、「直積」と同じように「内部半直積」と「外部半直積」の定義があるが、両者は自然に同型である。「半直積群」の例としては、正  n 角形の回転 (rotate) と鏡映 (flip) の積からなる 2n 個のシンメトリーを表す二面体群  D_{2n} をあげることができる。 D_{2n} は、巡回群  C_n, C_2 の半直積である。

 \langle a, b| a^2 = e, b^n = e, aba^{-1} = b^{-1} \rangle

(内部半直積による定義)
 G が与えられたとき、正規部分群  N \triangleleft G と部分群  H について、以下の二つは、同値な定義である。
※ 「直積」は N, H の双方が  G正規部分群である。//

1)  G = NH, N \cap H = \{e\}
2) 任意の  g \in G について  g = nh (または  g = hn ) となる  n \in N, h\in H がただひとつ存在する。

たとえば 1) の定義で  g =a_1b_1 = a_2b_2 と二種類に表せたとすると  a_2^{-1}a_1=b_2b_1^{-1} =e となって、 a_1=a_2, b_2=b_1 となる。

※ 結局、半直積とは  G/N \simeq H と同値のようなものだとわかる。

(外部半直積による定義)
二つの群  N, H H からN の自己同型群への準同型  \varphi: H \to \mathrm{Aut}(N) を与えたとき、直積集合  G= N \times H に以下のように演算を定義する。

 (n_1, h_1)\cdot (n_2, h_2)\\:= (n_1\varphi(h)(n_2), h_1h_2)\\=(n_1\varphi_h(n_2), h_1h_2)

ここで、 \varphi: H \to Aut(N) h \mapsto \varphi(h)=\varphi_h, h \in H として、 \varphi(h)(n) = \varphi_h(n)=hnh^{-1}, h \in H, n \in N となる共軛変換によって定め、単位元(e_N, e_H) として定める。

そうすると、G が群を成すことが以下のように証明できる。

(証明)
1. 結合法則

2. 単位元
自明
3. 逆元
(n,h)\cdot(\varphi_{h^{-1}}(n^{-1}), h^{-1})\\=(n\varphi_{h}(\varphi_{h^{-1}}(n^{-1})),hh^{-1})\\
=(nn^{-1},e_H)=(e_N, e_H)

(\varphi_{h^{-1}}(n^{-1}), h^{-1})\cdot (n,h)\\=(\varphi_{h^{-1}}(n^{-1})\varphi_{h^{-1}}(n), h^{-1}h)\\
=(\varphi_{h^{-1}}(n^{-1}n), e_H)\\
= (\varphi_{h^{-1}}(e_N), e_H)\\
=(e_N,e_H)
//

続きは次の記事で。