雑記 (40)

ガロア拡大 L/K の中間体  K(\alpha)/K を考えたとき、中間体がガロア(正規)拡大体であることと、ガロア群の部分群 \mathrm{Gal}(L/K(\alpha))正規部分群であることは同値であることを確認する。

【証明】
中間体 K(\alpha)ガロア拡大体だとする。中間体 K(\alpha)の要素を動かさない 部分群  H = \mathrm{Gal}(L/K(\alpha)) を取る。 \forall x \in K(\alpha), \rho \in H について、  K(\alpha)/Kガロア拡大体であることから  \rho(x) \in K(\alpha) である。部分群  H の任意の写像  \tau は、 K(\alpha)の要素を動かさないので、

 \tau(\rho(x)) = \rho(x)

が成り立つ。すなわち

 \rho^{-1}(\tau(\rho(x))) = x

なので、 \rho^{-1}\tau\rho \in H となる。したがって、 H =  \mathrm{Gal}(L/K(\alpha))正規部分群である。

逆は、部分群  H正規部分群なので、 \forall \tau \in \mathrm{Gal}(L/K), \rho \in H, x \in K(\alpha) について、 \rho^{-1}\tau\rho \in H が成立するので、 \rho^{-1}(\tau(\rho(x))) = x から、 \tau(\rho(x)) = \rho(x) となって、 \rho(x) \in K(\alpha) である。任意の x でこの関係が成立するので、中間体はガロア拡大体となる。//

以上から、ガロア群の部分群が正規部分群であることと、中間体がガロア拡大体であることは同値であることがわかった。そこで、 K(\alpha)/Kガロア拡大のときをもう少し調べてみる。

 \mathrm{Gal}(L/K) の任意の写像  \rho による  K(\alpha) の像  \rho(K(\alpha)) は、 K(\alpha)/Kガロア拡大体なのだから、

 \rho(K(\alpha)) \subset K(\alpha)

である。そこで、 \mathrm{Gal}(L/K)写像  \rho, \tau が、体の添加要素  \alpha を共軛要素  \alpha^{\prime} に動かしたとする。つまり

  \alpha^{\prime} = \rho(\alpha) = \tau(\alpha)

であるが、これから

 \tau^{-1} (\rho (\alpha)) = \tau^{-1} (\tau(\alpha)) = \alpha

なので、写像  \sigma = \tau^{-1}\rho は部分群  H = \mathrm{Gal}(L/K(\alpha)) に属していることになる。また、

 \rho = \tau\sigma

なので、自己同型写像  \rho \tau は両方とも、部分群  H の剰余類  \tau H に属していることがわかる。

逆に、自己同型写像  \rho \tau が、同じ剰余類  \tau H に属しているとすれば、

 \rho = \tau \sigma,  \sigma \in H

とおくことができ、部分群  H写像  \sigma は中間体の要素の値を変えないのだから

 \rho(\alpha) = \tau\sigma(\alpha) =\tau(\alpha)

となり、部分群  H の同じ剰余類に含まれる写像はすべて、中間体  K(\alpha) の添加要素  \alpha を同一の共役要素へと移すことがわかった。

以上より、ガロア \mathrm{Gal} (L/K)写像  \tau, \rho が 中間体 の 添加要素  \alpha を同一の共役要素  \alpha^{\prime} へと移すことは、ガロア \mathrm{Gal}(L/K)正規部分群  H によって作られる剰余類  \tau H \tau, \rho が両方とも属するということと同値であるという結果がえられた。また、このことから、中間体  K(\alpha) /K の添加要素  \alpha と共軛な要素の数は、剰余類の指数に等しいということもわかる。

今度は、中間体がガロア拡大体でない場合を考えてみる。ガロア \mathrm{Gal}(L/K) に属する写像  \tau によって、中間体  K(\alpha)/K の添加要素  \alpha が、 \tau(\alpha) に変わったとし、 \tau(\alpha) はもとの中間体に含まれないとする。そうすると、写像 \tau は、中間体  K(\alpha) / K K(\tau(\alpha)) /K へと移す。この新しい中間体  K(\tau(\alpha)) を変えない写像  \sigma^{\prime} は、ガロア群 の部分群  \mathrm{Gal} (L/K(\tau(\alpha)) に属している。

 \sigma^{\prime}(\tau(\alpha)) = \tau(\alpha)

であるから、

 \tau^{-1} (\sigma^{\prime} (\tau (\alpha))) = \alpha

したがって、写像   \tau^{-1}\sigma^{\prime}\tau は、もともとの部分群  \mathrm{Gal} (L/K(\alpha) に属する。

 \sigma = \tau^{-1}\sigma^{\prime}\tau \in  \mathrm{Gal} (L/K(\alpha))

とおくと、

  \sigma^{\prime} = \tau\sigma\tau^{-1} \in  \mathrm{Gal} (L/K(\tau(\alpha)))

となるので、写像  \sigma^{\prime}写像  \sigma と共軛であり、このことから、 \tau \mathrm{Gal} (L/K(\alpha)) \tau^{-1} = \mathrm{Gal} (L/K(\tau(\alpha))) であることがわかる。こうして、写像  \tau(\alpha) が、中間体  K(\alpha)/K を別な中間体  K(\tau(\alpha))/K へと移すとき、対応するガロア群の部分群は、 H と共軛な群   \tau H \tau^{-1} であることがわかった。そして、その共軛群がすべて一致する(動かない)ときに正規部分群となるのである。