ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

脱・日本語なまり

神山孝夫さんが書かれた「脱・日本語なまり」という本にある発音のテスト10題は極めてわかりやすく、自分の発音をチェックするのに有効だと思う。もちろん、これだけでは不足だと思うけど、後、何題か付け加えれば実用的には充分という気もする。20 題以内でだれかそういうの公開してくれるといいのに。最近は Siri とかあるから、それがきちんと認識してくれれば基本的な発音は終わりみたいな。個人的には police なんかどうだろう。p の破裂が l の側面解放になっていて、その音が「お」になっていないかをチェックする。

1.TOP
・T の破裂音
・語尾の P の子音の発音で母音が出ていないか喉もとに手を当て声帯がぶるぶると震えているかいないかでチェック

2.MISSING
・MISSING の SS の「シ」の部分の発音が/s/ でできているか。日本語で「さしすせそ」と言ってみればわかるように、日本の「シ」の発音は SH の発音に近い。
・ing の鼻音の発音 

3. AWARD
・これは発音の問題というか綴りの読み方に引っ張られないかのチェック。上の単語を「アワード」と読む人は大問題。Wを発音する場合、それに続く母音は一般に音が変わるという規則を知っておく必要がある。というか、W をしっかり発音すれば自然に音は変わるのである。/w/ は発音しにくいが、小さくなった飴玉を舌に載せてそれを歯の隙間に持ってくる感覚で、その舌の先に神経を集中させる感じで発音するとあまり気にならず発音できる。もちろん個人差はあると思うけど、口をすぼめてそれを一挙に解放しながら発音するという説明は正しいんだが、なんかワンアクション間に入る感じで、それをイメージすると発音しにくい。理由は口をすぼめてという部分が発音の起点ではなく、その前段階を指定しているためである。 

4. CHICAGO
・有名な日本語の母音の無声化のチェックである。関西圏の人はあまり役に立たないかもしれない。母音の無声化とは、口の開きが狭い母音――つまり「う」と「い」――が二つの無声子音に挟まれると、母音が発音されなくなるという癖である。最近ではアナウンサーの養成に母音の無声化を教えているというのだから恐れ入る。母音の無声化が起きた場合、「すき」と「しき」をどう聞き分けているのだろうか? 「すき」の 「す」の子音は  /s/ であるが、「しき」の子音は、/ʃ/ (に近い音)であり、「すき」と「しき」は、子音の /s/ と/ʃ/の違いで聞き分けているのである。英語では、この癖は通用しないので母音を出す必要がある。CHICAGOの発音は SEATTLE の発音とは違って、CH は日本語の「し」の子音に近いものである。

5. KING
・最後の鼻濁音 NG の語尾に母音の「う」を入れない

6.ONE
・単語の先頭の W がきちんと発音されているか
・語尾のNの発音で、舌の先が前歯の付け根あたりにペッタリとくっついているか 

7. HE
・日本語の「はひふへほ」の中で「ひ」の子音は喉からなにも遮らないででる息の音にすぎない H の音とは明らかに異なっている(連続して「ヒ」の子音を出してみるとよくわかる)。口の中で息を遮らないように子音を出す必要がある。 

8. KNEE
・日本語の「に」は、Nの音が舌先が前歯の後ろにくっつかないで発音されることに気がつく必要がある 

9. WHO
日本語の「フー」の子音は上下の唇が近づいていてやはり息を遮っている。

10. BABY
二番目の B の音を出すためにしっかりと上下の唇が閉じられているかどうか

 

脱・日本語なまり―英語(+α)実践音声学 (大阪大学新世紀レクチャー)

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