ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

/m/ < /n/ < /ŋ/

簡単にいうと「広東麺」でも「ワンタン麺」でもいいのだが、三つある単語の「ん」の最初は英語の /n/ で次の「ん」が英語の/m/ で最後の「ん」が英語の /ŋ/ である。

皆、同じ 「ん」にしか聞こえていないんだとしたら、やっぱり日本語のフィルターがかかっているので、語末の鼻音の識別能力の訓練が必要だろう。/ŋ/ はもちろん一音であるが、音の高さからいうと三つの鼻音の中ではもっとも高いし (/m/ <  /n/ <  /ŋ/), 続けてこの音を出していると、だんだん尻上がりに音が高くなっていく感じがある。それが二音であると誤解される原因かもしれない。ただでさえ語末の子音が弱いのに、二音だと思い込んでいるとThing や King のような簡単な単語さえ聞きとれなくなる大きな原因になると思う。

下のクリップは、ジーン・ケリーの有名な “Singin’ in the Rain” であるが、singing をどう発音しているかが参考になる。singing は /ŋ/ が二回発音されるが、調音位置を変えないで発音されるために最初の /ŋ/ が発音されて/i/ が発音されるときに必然的に /g/ が挿入されるのが分かると思う。

なお、クリップの冒頭、女性(デビー・レイノルズ)が、

“Take care of that throat. You're a big singing star now, remember?”

と言うところで、singing star の singing の方にストレスがくることも注意したい。例えば、barking dog の場合は dog の方にストレスがかかるのだが、これは動名詞と現在分詞の違いである。尚、その後は

“This California dew is just a little heavier than usual tonight.”
“Really? Where I stand, the sun is shining all over the place.” 

と言っている。

I'm singin' in the rain
Just singin' in the rain
What a glorious feeling
And I'm happy again.
I'm laughing at clouds
So dark, up above
The sun's in my heart
And I'm ready for love.

Let the stormy clouds chase.
Everyone from the place
Come on with the rain
I have a smile on my face.
I'll walk down the lane
With a happy refrain
Just singin', singin' in the rain.

Dancing in the rain.