ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

実際の文章表現

「同格」の例文に “The Great Gatsby” の中の文章を使ったんだけれど、そう言えばこの作品ってやたらと同格が使われているなと今さらながらに思いついた。第一章だけでも確認してみようとゆっくりと読み直してみて、それは間違いではなかったのだが、ゆっくり読むといろいろなことに気がつくもので、第1章の最後の方に以下のような文章があった。

Something in his leisurely movements and the secure position of his feet upon the lawn suggested that it was Mr. Gatsby himself, come out to determine what share was his of our local heavens.

Come の前に “who had” が省略されているとしか思えない。there 構文とか it を使った文などで主格の関係代名詞がよく省略されることがあるのは知っているが、これは間違いようのない非制限用法だし、しかも had までが省略されているのが面白い。 

その前にもこんな文章があった。

It seemed to me that the thing for Daisy to do was to rush out of the house, child in arms—but apparently there were no such intentions in her head.

前にカンマなしで “with child in arms” と書くのとまったく同じことであるが、面白いのはそのことではなくて child には her がついておらず arms にも the または her がついていないことである。付帯状況で with を省略した形は冠詞他を省くことが多いのではと思う。改めて他の例を注意してみよう。もっとも child の方は自分の娘だから冠詞はないという考え方もある。