しょんがいな

山中貞雄の『百萬両の壺』で喜代三が唄う『櫛巻お藤の唄』は YouTube にはないので、歌詞だけ載せておこう。作詞は山中貞雄監督と言われている。松阪市には「しょんがい音頭」というのが今でも保存されているようだけど「しょんがいな」というのも多分同じ語源で曲の調子をとる囃子言葉のようなものである。最後の「まこと情けの一夜」の「一夜」は「一矢」が掛かっており、「参らせ候」というのは ——想像に任せることにする。

 

浮世さらさら 風車
今日は北風 明日 南風
ええ しょんがいな
矢場に矢が降る 雨が降る

 

のぞいてみやれ 軒ツバメ

君を待つ気の 奥山小路
ええ しょんがいな
遠矢 七軒 恋の的

 

矢場のカラスが鳴くそうな

まこと情けの一夜がほしい

ええ しょんがいな
参らせ候と紅のあと

 

1934 年の東海林太郎の『赤城の子守唄』は、国定忠治の映画『浅太郎赤城の唄』の主題歌であったが、そのレコードのB面は喜代三の『赤城の歌』であった。

 

 

東海林太郎は、これ以外にも国定忠治に関する歌をたくさん歌っているのだが、その中に『国定忠治の唄』というのもあって、そのB面も喜代三が『お藤の唄』というのを歌っている。問題はこれが何の映画の主題歌だったのかがわからなく、もしかしたら山中貞雄監督の失われた『国定忠治』(1935) のものかもと思ったが、それは違っていた。見ていないので違っているかもしれないが、1936 年のマキノ正博監督の『國定忠治 信州子守唄』を第一部とする三部作のどれかじゃないかと思う。伊藤大輔の『忠次旅日記』のシナリオでマキノが監督した作品である。