ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

お玉杓子は蛙の子

平野愛子の『港が見える丘』『君待てども』『白い船のいる港』は少し前に紹介したが、作詞・作曲は、敗戦後まもない 1950 年に亡くなってしまった東 (あずま) 辰三である。彼はキャリアの初期、コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズにメンバー入れ替えがあったときにボーイズに参加してバスを担当していた。服部良一作曲/編曲の『山寺の和尚さん』で「色街のお酌さん〜」とやっているのは彼である。

ところで『おたまじゃくしはカエルの子』という唱歌の作詞者の一人には、彼 (東辰三) の名前がある。

この唱歌のメロディーはもちろん、南北戦争のときに北軍の行進曲となった『リパプリック賛歌』(The Battle Hymm of the Republic) の借用であり、原曲の歌詞は女性詩人であるジュリア・ウォード・ハウであることも名高い。レッド・ニコルズの録音を聴いておこう。

ところが、この「おたまじゃくし」のメロディーはもともと『リパプリック賛歌』ではなかったらしい。以下の灰田勝彦のオリジナル録音時期は、1940 年である。もっとも「イカに鉢巻きできやせぬ」の歌詞の後に『リパプリック賛歌』のメロディが挿入されている。

ベースのメロディは、ハワイアン・ソングの『ナ・モク・エハ』からの借用で、演奏例はここから聞くことができる。