ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

Gilda Gray

f:id:noriharu-katakura:20180106001459j:image

F・スコット・フィッツジェラルドの小説 “The Great Gatsby” (1925) の第三章は、Gatsby の家の庭で開かれるパーティの場面であり、そこでは小説の語り手である Nick が初めて Gatsby と声を交わすという物語の展開とともに、第二章の Doctor T. J. Eckleburg の眼鏡を主題的に想起させる “enormous owl-eyed spectacles” をかけた男が登場したり、パーティの後の出来事として語られる自動車事故がその後の物語の展開を予告しているなどの点で興味深い。しかし、ここでの目的はこの小説を読むことではなく、第三章の中の次の文章だけに関わるものである。

Suddenly one of these gypsies, in trembling opal, seizes a cocktail out of the air, dumps it down for courage and, moving her hands like Frisco, dances out alone on the canvas platform. A momentary hush; the orchestra leader varies his rhythm obligingly for her, and there is a burst of chatter as the erroneous news goes around that she is Gilda Gray’s understudy from the Follies. The party has begun.

ここで出てくる “the Follies” というのは、名高い「ジーグフェルド・フォーリーズ」のことを指しているのだとすぐに分かるだろう。“Gilda Gray” はジーグフェルド・フォーリーズに出演していたダンサーで、チャールストン・ダンスが流行する前の “shimmy dance” で名高い。なお、この “shimmy dance” は、公共の場で踊ることがしばしば禁じられるようになるものである。実際の “Gilda Gray” の踊りを YouTube で見ることができる。

ついでに、Frisco は、“Joe Frisco” のことであり、彼もジーグフェルドの舞台に出ていたのであるが、やはり YouTube でそのスタイルを確認できる。