コンチネンタル

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気がつくと、長い間に溜まってしまった DVD の堆積の中から、マーク・サンドリッチが監督したアステア=ロジャース物の五本が掘り起こされ、DVD 再生機の横にいつの間にか勢揃いしてしまっている。『スイング・ホテル』のついでに『踊らん哉』をもう一本見るだけのつもりだったのに……。優れた映画はこれだから恐い。

 

『コンチネンタル』(1934, The Gay Divorcee) は、映画が「二度目の誕生」を迎える転換期に作られた作品であり、それはバスビー・バークレーの影響を受けた後半の『コンチネンタル』の10分以上にわたり繰り広げられるビジュアルなナンバーと「夜も昼も」を含む前半の一連のナンバーが、長さの面でも、画面の装飾性といった面でも明らかに均衡を逸して構成されていることから窺える。ヘイズ・コードの検閲の影響を強く受け始めたのもこの頃であり、そもそも原題が "The Gay Divorce" ではなく"The Gay Divorcee" であるのは、カトリック系の圧力団体に配慮したことによるためらしい。イノベーションとは制約が与えられていることと、その制約を先入観なしに見て無効化しようとする努力が不可欠であるが、黄金期のハリウッド映画にとって、まさにヘイズ・コードは新しい発想によって無効化すべきその制約であった。

 

この映画を見直すと、ベティ・グレイブルが出演していたことをすっかり忘れていたことに気がついた。ベティ・グレイブルがその脚線美によって第二次世界大戦中、一番人気のピンナップ・ガールになるのは、ヘンリー・キング監督の『英空軍のアメリカ人』(1941, A Yank in the R.A.F.) 以降だから、この作品の時点から見ると随分先のことである。もともとゴールドウィン・ガールズの出身であり、『突貫勘太』(1931, Palmy Days) でもどこかに出ているはずなんだが確認できない。この映画ではエヴェレット・ホートンと膝をコンコンさせているのですぐにわかる。ついでに、ジンジャー・ロジャースとは遠縁にあたるルシル・ボールも『トップ・ハット』や『艦隊を追って』には出演しているのでお見逃しなく。この時期の女優さんたちは「健康的なお色気」がオクシモロンではないことを教えてくれる点で貴重だと思う。

 

 

 

オープニングも好きなんだけど。