スイング・ホテル

マーク・サンドリッチ監督の『スイング・ホテル』(1942, Holiday Inn) を見たんだが、ボゼージの『幸運の星』といい、山中貞雄の『河内山宗俊』といい、トッド・ヘインズの『キャロル』といい、雪のシーンが印象的な映画のことばかり最近書いている気がする。つい最近もどうでもいいことで斎藤由貴をテレビの情報スクリーン (「画面」とはいいたくない) で見かけて、不図、彼女の映画初出演は、早逝された相米慎二監督の『雪の断章 情熱』だったことを冒頭のすごい長回しとともに思い出し、もう一度その作品を見ようと思ったら、DVDが原作のどうでもいい作家の意向かなにかの関係で出ていないことを知って怒りがこみあげたばかりである。たった十数本しか作品を残しておらず、日本の 80 年代の数少ない優れた映画作家の作品だからこそ、処女作である『翔んだカップル』から始まる作品が封切られるたびにワクワクしながら映画館に駆けつけてリアルタイムで見ていた人間としては、原作が誰であるとか、作品が原作に忠実かどうかなんて本当にどうでもよいことである。もっとも斎藤由貴に関しては映画出演の前からレコードを擦り切れる程聴いたし、彼女の出演映画はほとんど見た記憶がある。

 

脱線した話を元に戻すと、グリフィス監督の『東への道』(1920, Way Down East) を思い出すまでもなく、いくらハリウッドが陽光に恵まれた地とはいえ、映画の画面には過去から数々の雪が登場している。ジョン・フォードの作品を始めとして過去の作品を改めて見直してみるとこの作品にも雪が出ていたのかと驚かされるものが数多くあるに違いない。その中には小津の『母を恋はずや』のようにロケーションの予定日にたまたま雪になってしまい、その雪の画面が作品の中で最も印象的なものになったという例も含まれている。

 

『スイング・ホテル』は物語の「語り」が主に米国の祝日にあたる時であり、舞台で展開される場面も祝日が記念している出来事に基づいて決定される。祝日に沿って語られる「物語上の」時は二年ほどであり、その間クリスマスの出来事が計三回も語られるわけで、その三回とも絵に描いたような雪が降っており、三回目は、それがハリウッドのスタジオで人工的に降らせている雪であることが撮影風景とともに観客にも示されるところが興味深い。つまり、「本当らしさ」が少ない正直な作品であるところに好感が持てた。マーク・サンドリッチの映画って全般に物語のあまりの単調さや馬鹿らしさが映画 (のメッセージやストーリー) について何か「ひとこと」発言したくてたまらない自称「映画好き」をイライラさせることが多いらしく、そういう意味でも貴重である。音楽でいえばアーヴィング・バーリンの『ホワイト・クリスマス』と服部良一の『風は海から』が世界大戦の最中のほぼ同じ時期に映画の主題歌として作られていることに気がついて感動した。

 

 

クリスマス・ソングの続き。

 

1934 年は “Santa Clause Is Comin’ to Town” だけでなく、"Winter Wonderland” が作曲された年でもあるという驚き。

 

ブギウギは当然あると思っていたけどやはりある。