気を取り戻して

Mildred Bailey を「忘れられた」歌手などといい、現在をなし崩しに消費することだけにかまけるから、村上春樹の『1973年のピンボール』などというつまらない小説の中で「僕」がベイリーの「イッツ・ソー・ピースフル・イン・ザ・カントリー」を口笛で二回吹くと、双子の女の子はいい曲ねと賞めるといった記述にコロリと騙されるのである。「だからどうした」と思えないとおかしい程度にベイリーぐらい当然聴いていなきゃ駄目だと思う。世界がおかしくなっているのは、なにに資源配分していくかの判断が根本的に狂っているにも拘らず、それを最適化しようとするからだ。