ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

チョビ髭大将

エドワード・サザーランド監督の『チョビ髭大将』(It's the Old Army Game, 1926) は、それほど面白い作品とは思わないが、W. C. フィールズとルイーズ・ブルックスが共演している映画である。ルイーズ・ブルックスはこの頃なんとまだ二十歳であり、彼女の水着姿もみられる。もちろん、ハワード・ホークス監督の『港々に女あり』(1928) にも出演していないし、ましてドイツで『パンドラの箱』(1929) の運命の女「ルル」を演じてすらいない。彼女は、この映画がきっかけで、エドワード・サザーランド監督と短い間であるが結婚することになる。

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『チョビ髭大将』の続編のような感じの扱いの作品に、グレゴリー・ラ・カーヴァ監督の『チョビ髭成功美談』(So's Your Old Man, 1926) がある。原題は「それは、こっちの台詞だよ」ぐらいの意味だろう。作品の出来映えとしては、こちらのほうが遙かにいいと思う。主演は同じW. C. フィールズで、共演はアリス・ジョイス。サイレント版の『ボー・ジェスト』(1926) にブランドン夫人役で出演しており、1910 年代から 20 年代にかけて 100 本以上のサイレントに出演した女優である。この作品は、1934 年にトーキー作品として『南瓜と御姫様』(You're Telling Me, 1934) というタイトルでリメイクされていて、このリメーク作品にも、W. C. フィールズが主演している。

初期にアニメーション製作に関わり、『襤褸と宝石』(1936) や『ステージ・ドア』(1937) を監督したグレゴリー・ラ・カーヴァ監督は、W. C. フィールズと親友だったということであり、彼はクレジットこそないが、W. C. フィールズの短編についても手がけている可能性がある。

喜劇王 W. C. フィールズのトーキー時代のクリップを紹介しておこう。所有しているジョージ・キューカー監督の『孤児ダビド物語』(1935) の DVD のパッケージには、出演者として、W. C. フィールズの記載さえない。