ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

ディートリッヒのオーディション

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まず、1928 年の米国のヒット曲 “You're the Cream in My Coffee” を Annette Hanshaw の歌で聞いてみる。

曲の最後で彼女が “That's all.” と言っているが、これは彼女の多くのレコーディングで聞かれる。実際そうであることを確認するために、この 1920 年代を代表する歌手の別の曲を紹介したい気もするが、それはやめておく。

そこで、 “You're the Cream in My Coffee” という曲に戻ると、本当に他愛もない曲でタイトルは「コーヒーにクリームが必要なように私にはあなたが必要なのよ」というような内容である。

この他愛もない曲が、なぜわざわざ現在へ召喚されないといけないかというと、それはまだドイツにいたマレーネ・ディートリッヒが、『嘆きの天使』のローラ (Lola Lola) 役でジョセフ・フォン・スタンバーグ監督によって見出されたときに、スクリーン・テストでこの曲を歌ったという事実があるからである。このことはディートリッヒ自身がそう語っているのだが、YouTube を見ていたら、このテストの様子が実際に残っている。クリップの最初の方にスタンバーグ、ディートリッヒの名前が一緒にボードに記載されているが、この映画史の神話的な名前の組合せがこんなにも無造作に提示されていることに目眩のような感じを受けてしまう。

最後にディートリッヒは何か言っているが、役を終えてピアノの人に謝っているのだろう。『嘆きの天使 』(Der Blaue Engel, The Blue Angel, 1930) は、ウーファでドイツ最初のトーキーとして撮影され、1930 年 4 月 1 日にドイツで公開されている。……しかし、本当に綺麗な脚!

 

嘆きの天使【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

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