音楽

Anything Goes

1934 年に同名の著名なミュージカルで使われたこの曲 "Anything Goes" (「何でもあり」)は、コール・ポーター(Cole Porter) の作詞・作曲である。もっとも、歌詞の方は時代とともに別のものへ置き換えられている。最近では Lady Gaga と Tony Bennett が歌っ…

Hesitation Blues / Hesitating Blues

アドルノの『ポピュラー音楽について』を読んだが、シリアス音楽とポピュラー音楽を厳密に規格化して区別しようとするその MECE な発想にまず辟易する。創造って概念と概念が位相として無駄に重なりあったところがないと出来ないので(例: ウナギ犬)、この人…

Perdido

Duke Ellington の Perdido (Juan Tisol 作曲) を聴く。Ellington を聞いていると、40年代に西海岸でポピュラー音楽に接した著名なフランクフルト学派の一人が書いているようにポピュラー音楽とは「規格化」し、そこに己の感性を従属させることではなく、今…

Cherokee

チェロキー族というと、クリントン・イーストウッドの『アウトロー』(1976, The Outlaw Josey Wales) を思い出す。もちろん、チェロキーが出てくる西部劇はたくさんあるけど。 1938: Ray Noble and his Orchestra: 1939: Charlie Barnet: Count Basie Orches…

I Scream, You Scream, We All Scream for Ice Cream

もう覚えている人も少ないかもしれないが、榊原郁恵の『夏のお嬢さん』(1978) のサビの部分の歌詞って 1927 年に作曲されたこのノヴェルテイ・ソングから?というのが、ごく個人的な推測である。 もう一つの記憶は、ジム・ジャームッシュ監督の『ダウン・バ…

Chinatown, My Chinatown

1906 年に Jean Shwaltz が曲を作り、William Jerome が詞をつけた。1910 年のブロードウェイ・ミュージカルに使われたときも、さほど有名にならず、1915 年に初めてヒットした。そのとき、このコンビによるコラボレーションは解散していた。 1914: Billy Mu…

I’ve Found a New Baby

残念だが、この曲の最初の録音と思われる 1926 年の Clarence Williams’ Blue Five の Eva Taylor と Bubber Miley が参加した演奏をYouTube で見つけることができなかった。 Eva Taylor の他の歌で我慢しよう。 ※ 曲は最初が “When The Red, Red, Robin Com…

Duke Ellington と Tiger Rag

Duke Ellington は、Tiger Rag のコード進行を使って 様々な曲を演奏している(いわゆる contrafact)。以下はその例だが探せばまだあると思う。 1928: Hot and Bothered: 1929: Tiger Rag (Part 1): Tiger Rag (Part 2): High Life: 1930: Hot and Bothered: …

Bonnie Guitar

前に“Moon“ が曲のタイトルにあるものを思いつきで紹介したことがある。 "Moon" がタイトルにある曲 - ノリの悪い日記 カントリー・ミュージックの歌い手として今年の3月で 95 歳になられた Bonnie Guitar は、1957 年に女性のカントリー・ミュージシャンと…

Smoke Gets in Your Eyes (2)

※ 記事を分割。 1946: The King Cole Trio: 1947: Freddy Martin and his Orchestra: Johnny Guarnieri: 1949: Hilda Humphrey: ※ piano: unknown Harry Belafonte w/ Zoot Sims Quintet: 1950: Rise Stevens: Charlie Parker: Jo Stafford: 1954: Theloniou…

Smoke Gets in Your Eyes (1)

ウィリアム・A・サイター監督によるアステア=ロジャースの三作目の RKO 映画『ロバータ』(1935, Roberta) は、もともと 1933 年のミュージカルから来ており、作曲はジェローム・カーンである。後で出てくるアイリーン・ダンのものもそうだが、この毛皮、今の…

My Blue Heaven

トッド・ヘインズ監督の新作である『ワンダー・ストラック』をレイト・ショーで見る。観客の数は 10 人に満たない。まあいいだろう。ジョン・ウェインが亡くなるまでお蔵入りにした『ラスト・シューティスト』(1976, 1979日本公開, The Shootist) よりは、上…

Get Out and Get Under the Moon

『月光価千金』。“My Blue Heaven” とほぼ同じ時期の歌。日本で戦前に歌われたものは、ごく一部しかアップされていないのが残念である。 1928: Nat Shilkret and the Victor Orchestra: Broadway Bell-Hops (Sam Lanin): Billy Hayes and his Orchestra: Pau…

Swanee River

フォスターの曲として日本でも古くから親しまれた曲であるが、映画としては、ハワード・ホークス監督の『ハタリ!』(1962, Hatari!) でのジャム・セッションを思い出させる。改めてみると最初のエルザ・マルティネッリがピアノを引き継ぐところは『コンドル…

Dancing in the Dark

もちろん、ヴィンセント・ミネリ監督の『バンド・ワゴン』(1953, The Band Wagon) のフレッド・アステアとシド・チャリシーの信じがたいまでに美しいダンス・シーンで流れた曲として記憶に残り続けると思う。 1931年のミュージカル “The Band Wagon” で最初…

Caravan

これも名高い Duke Ellington のナンバーであるが、最初に録音されたのは 1936 年である。 1936: Barney Bigard and his Jazzopaters: ※ 以下のプレイヤーの名前を見れば、全員、当時のDuke Ellington 楽団の面々であることがわかる。 Cootie Williams (tp),…

Speak Low

この曲は、1928 年にベルトルト・ブレヒトの『三文オペラ』の音楽を監修し、その後米国に亡命したユダヤ系音楽家 Kurt Weill の代表曲の一つである。”Speak Low” という言葉は、数年前まで放送されていた某TV番組と関係があるとはにわかには信じたくないシェ…

Take the ‘A’ Train

よく知られた Duke Ellington の “Take the ‘A’ Train” の録音をいくつか紹介しておくことに。 1941: Rex Stewart (cnt) Ray Nance (tp,vln) Wallace Jones (tp) Joe "Tricky Sam" Nanton, Juan Tizol, Lawrence Brown (tb) Barney Bigard (cl,ts) Johnny Ho…

I Wished on the Moon

すでに書いたが、ビリー・ホリデイはこの曲を三回録音している。どれも素晴らしい録音だと思う。 1935: ※ Teddy Wilson and his Orchestra:Roy Eldridge (tp), Benny Goodman (cl), Ben Webster (ts), Teddy Wilson (p), John Truehart (g), John Kirby (b),…

Always

Irving Berlin が結婚のときに妻に捧げた曲。次のクリップは、Paul Fejos 監督の 1928 年の映画 “Lonesome” から。 この場面で使われている Brunswick のレコードは、1926 年のNick Lucas のものである。 1926: Henry Burr: George Olsen: Layton and Johnst…

I Must Have That Man

この曲はやっぱり Billie Holiday と Lester Young がいい。 1928: Adelaide Hall: Duke Ellington: Ben Selvin: Annette Hanshaw (w/ Gay Ellis): Grace Hayes: Lee Morse: Joe Venuti: 1929: Jack Hilton: 1933: Adelaide Hall w/ Duke Ellington: 1936: V…

After You’ve Gone

この曲、YouTube にはないものの Henty Burr & Albert Campbell のレコードが僅かながら最も早いと思われる。有名な 1918 年のMarion Harris のものはその少し後で発売されたんだろう。出だしのところは既に記事で紹介した Peg O’My Heart をそっくり引用し…

Am I Blue

この曲はハワード・ホークス監督の『脱出』(1944, To Have and Have not) で Hoagy Carmichael と Lauren Bacall が歌う素晴らしいシーンを紹介済みである。 エディ・コクラン なんかも歌っている。彼の名前が出ると、セルジュ・ゲンズブールが作って、ジェ…

Alice Blue Gown

Alice Blue という色の名称は、セオドア・ルーズベルト (もちろんアメリカ合衆国第26代大統領である) の娘、Alice がこの色のガウンをよく着たことが由来である。この曲は 1919 年のブロードウェイ・ミュージカルから。1940 年の録音が多いのは映画の影響。…

My Melancholy Baby

サルトルの『嘔吐』はモデル小説でもなんでもないのだから、小説の中の ”Some of These Days” の演奏に実在のモデルが存在するかなどどうでもよいことだが、レコードの針が飛ぶことに関する小説の記述とか、実際にレコードの針が飛んだんじゃないかと思うよ…

Some of These Days

ハワード・ホークス監督の映画をたびたび取り上げているが、今度は美しい航空映画の一本『コンドル』(1939, Only Angels Have Wings) でのジーン・アーサーとケーリー・グラントのシーンである。 このクリップの最初で、曲の名前が発言されジーン・アーサー…

Blue Reverie

ベニー・グッドマン楽団によるカーネギー・ホールでの新年 (1938) コンサートでは、 ”Blue Reverie” が気に入っている。前の記事とは別のクリップで再掲する。 誰が聞いてもデューク・エリントン色濃厚であるがその通りで、ソロを演奏しているのは、Johnny H…

Sometimes I’m Happy

「メディアミックス」というのは確か70年代から言われ出したと思っているが、「スタンダード」と言われている曲の多くはミュージカルや映画で使われた音楽がレコーディングされたものが多く、昔からメディアミックスじゃないかと思う。この曲だってもともと…

Benny Goodman 1935

ついでにという訳でもないが、1935 年のベニー・グッドマンのレコードを聞く。1935 年 7 月 31 日に、”King Porter Stomp “ と ”Sometimes I’m Happy” のレコードが発売された (録音は 7 月 1 日) が、当初はほとんど反応がなかった。ツアーで 8 月 19 日に…

January 16, 1938 Carnegie Hall Concert

久しぶりにベニー・グッドマン楽団のこの「歴史的」コンサートを聴く。当時はクラシック音楽の殿堂だったカーネギー・ホールで初のジャズ・コンサートを行うということは、一般の社会的認知に凡庸に貢献するわけだが、それは何かの始まりというよりも、この…