雑記

方向音痴

方向音痴なので、右も左もわからないが、1991 年のベルリンの壁崩壊を社会主義に対する資本主義の勝利などと言うのは、決定的に間違っている気がしてならない。逆にソーシャル・ビジネスと普通のビジネスの違いも何かよくわからない。ソーシャルとわざわざつ…

ファクトフルネス

通勤電車の中で、学生さんがすごく熱心に本を読んでいるので、いったい何を読んでいるのだろうと思ったら、ベストセラーになった『ファクトフルネス』である。これだけフェイク・ニュースやネガティブ・ニュースやヘイト記事や歴史修正記事が世の中に溢れて…

資本主義としてのハリウッド映画

2007 年くらいにトルコ出身の経済学者、ダニ・ロドリック教授が提唱した 「国際政治のトリレンマ」というのは、新自由主義の歪みが顕在化し始めた頃から、しばしばその説明概念として引用されている。トリレンマというのは、「グローバル化、国家、民主主義…

落下傘は開いた

米大統領の宮中晩餐会での「おことば」を読んでいると、 私自身の貴国との最初の思い出は、1970年の大阪万博であり、(中略) チャールズ・リンドバーグ飛行士に、水上飛行機シリウス号の操縦席に乗せていただいたことを、今でも鮮明に覚えています。 という箇…

思い出の曲

若者が、実際に生まれてもいない 1960 年代をなぜ懐かしむのかを不思議に思う人の方が僕には余程不思議である。自分だって生まれてもいない時代の映画や音楽が好きである。逆にこの後期資本主義の時代に最新の流行を次から次へと追いかけて消費していくスタ…

パーソナル・ソング

数年前のサンダンス映画祭で話題となったドキュメンタリー映画『パーソナル・ソング』(Alive Inside) でも紹介されていたが、認知症の症状の緩和に音楽が用いられている。それがどこまで効果があるのか寡聞にして知らないが、人にとって特定の音楽 (パーソナ…

港に赤い灯がともる

海水魚って、どうやって水分補給するんだろうと不図、疑問に思ったが、やっぱり海水をゴクゴク飲んで塩分を体外に排出しているんだ。淡水魚は浸透圧の関係で、逆にエラなどから水が体内に吸収されていくので、積極的に水を飲まない。逆に体内の余分な水を外…

とりとめなく (2)

本当にとりとめなく聞く。日本特派員だったバートン・クレーンの歌を二曲。1931: (バートン・クレーン) 酒が飲みたい: ニッポン娘さん: ※ 東京の娘さんのところは「東京の娘さん、いかがです、銀座ガールつれない、いつでも冷淡」と言っている。名古屋の娘さ…

とりとめなく

これは小国英雄が脚本だけではなく、日活から東宝へ移籍し監督もした、『ロッパ歌の都へ行く』(1939) の断片だと思う。場所は日劇で、司会しているのが「悦ちゃん」なのかなあ (自信なし)。淡谷のり子が『雨のブルース』、上原敏が『親戀道中』、松島詩子が…

東京オリムピック

やがて敗戦という結果に至る時局により、実際に開催されることはなかったが、「大きなプロパガンダ効果が期待できる」としてアドルフ・ヒトラーが開催した 1936 年のベルリン・オリンピックに続く 1940 年の開催地は、二・二六と阿部定事件が起きた 1936 年…

情欲の悪魔

ドリス・デイ追悼で『情欲の悪魔』(1955) を見る。正直、ルース・エティングはそれほど好きな歌手ではないけれど Rodgers & Hart が作った、10 セントのチケットで男性客のダンスの相手を一晩中する踊り子を描いた切ない "Ten Cents a Dance" は好きで、この…

ドリス・デイ追悼のために

アルフレッド・ヒッチコック監督の英国時代の作品 『暗殺者の家』(The Man Who Knew Too Much, 1934) の自身のリメイクである『知りすぎていた男』(The Man Who Knew Too Much, 1956) の前年に作られた、チャールズ・ヴィダー 監督で、ジェームズ・キャグニ…

鵠沼海岸

※ 現在の鵠沼海岸 *1// 小津安二郎の『晩春』(1949) の自転車のシーンは冒頭に江ノ島が見えるので、鵠沼海岸から茅ヶ崎方向にサイクリングしていることが分かる。コカコーラの標識が有名だが、コカコーラは大正時代にはすでに日本で (輸入品として) 販売され…

石松三十石船道中

大阪と伏見を淀川で結んだ「三十石船」は、広沢虎造の『石松三十石船道中』であまりにも有名であるが、1940 年のマキノ正博監督の傑作 『續清水港』のクリップがある。DVD は残念ながら販売されていないがフィルム・センター他では上映される機会がある。広…

アーカイブ

ゴダールの映画 『イメージの本』には海辺が出てくる。ゴダールの言うアーカイブとは、データベースのことではないと思う。それは海辺に打ち上げられた漂流物のようなものである。それはまず人によって発見されねばならないが、それだけではなく、その断片の…

港町について、つらつら考える

ジャズが生まれたのは港町ニューオリンズだし、エルビスを生んだメンフィスだってミシシッピ川沿いの中継港だし、ビートルズを生んだのも港町リバプールである、アルゼンチン・タンゴだってラ・プラタ川沿いのブエノスアイレスやモンテビデオ付近で生まれた…

昭和の港町

淡谷のり子の『別れのブルース』(1937) を思い出すまでもなく、昭和の唄を港町の存在抜きで語ることは、平成を原発事故抜きで語ることと同じように単なる抽象に過ぎないような気がする。※ なお戦前のマドロス歌謡を代表するのは次の三曲といわれることがある…

中井正一の母

中井正一の母、千代 (広島出身) は正一を 1900 年 2 月 14 日に大阪の病院で帝王切開によって産んでいる。この当時、帝王切開による出産はまだ一般的ではなく、日本最初とまではいわずとも、施術例としてはほとんど前例がなく母子の安全は大きなリスクがある…

思い出したこと

ゴダールの映画を見ると、どうしてもゴダールの映画を一番見ていた八十年代の記憶が蘇えってこようとする。しばらく経ってから、神代辰巳監督の『少女娼婦 けものみち』 (1980) で何度も歌われていた新井英一の「カラス」を波が圧倒的な力で迫ってくる海辺の…

雑記

今日は、バングラデシュのラナプラザが 2013 年に崩壊して、千人以上の犠牲者を出した日であり、最近は「ファッション・レボリューション・デー 」と呼ばれている。クリント・イーストウッド、中島貞夫、ジャン・リュック・ゴダールの新作を一ヶ月ちょっとで…

日本をもっと高齢化社会に

2015 年に亡くなられた偉大なポルトガルの映画監督、マノエル・ド・オリヴェイラは、亡くなられる一年前の105 歳まで作品を発表している。クリンスト・イーストウッド監督も、中島貞夫監督も、明日から『イメージの本』が封切られるジャン・リュック・ゴダー…

1967 年

前回の記事に 1967 年の前後のことを書いたが、『ルパン三世』の漫画アクションの連載開始は 1967 年であることを知った。ちばてつやの『あしたのジョー』が少年マガジンに連載開始されたのは、1967 年12 月だから、ほぼ同じ時期である。1967 年は、戦後すぐ…

哀しいほど元気だった

去る 3 月 30 日に DVD が発売された『息の跡』を再々見した。作品が素晴らしいのはもちろんだが、小森はるか監督のこの作品に親しみを感じるのは、まるで日本の製造業に活気があった頃の現場のようだと感じたせいかもしれない。学生時代に講義を受けた思い…

米 (2)

岩瀬彰さんの『「月給 100 円サラリーマン」の時代』という大変面白い本を読んでいたら、1929 年 (昭和 4 年) 、日本人は、月 15 キロ以上、つまり年間 180 キロ以上、米を食べていたとある。いまの日本は年間 50 キロ強である。バングラデシュは 2011 年の…

日本の米の一人当たりの消費量は、1962 年を戦後のピークに下がり続けて半分以下になり、2016 年にやっと少し消費が前年より増えたというニュースが流れたものの、一時的なものに過ぎず、その後も下がり続けているようだ。確か一人あたりの米の消費量の国別…

ペンネンネンネンネン・ネネム

まったく気がつかなかったんだけれど、二年以上前に東中野で二回見た小森はるか監督の『息の跡』が DVD で発売されていた。映画の中で『夜来香』を歌っていた佐藤さんがギター演奏をする特典映像が付いているらしい。早速、購入する。それで、小森さんたちは…

豊かさ (2)

言わずもがなとは思うものの見田さんの最新刊が良いと思ったのは、その肯定的な語り方にある。善意からきているとは思うが、高度資本主義の「成長の限界」の物語に操作されて語るものの上辺だけに思える「悲観主義」の警鐘によって、事態は改善されるどころ…

豊かさ

なんとはなしに、平成最後の東京大学卒業式の総長式辞なるものを読んでいると、見田宗介さんの名前が出てきて、2018 年に唯一読んだ岩波新書である 『現代社会はどこに向かうか — 高原の見晴らしを切り開くこと』が引用されていた。そこに出てくる consummat…

安全基地

8 歳になった飼犬が左後肢の前十字靭帯を断裂してしまって、いろいろなリスクを考えて悩みつつも、結局手術をしてもらった。絶対安静な疾病ではないし、知らない場所にずっと放って置かれることのネガティブ傾向のストレスが少しでも緩和できればと、毎日、…

奥様は芳紀十七才

1954 年のフランク・タシュリン監督の RKO テクニカラー作品で、ディック・パウエル、デビー・レイノルズ、アン・フランシスが出演していて、撮影は Nicholas Musuraca というのに、日本語版の DVD が未だに出ないのは何か事情があるのであろうか? 「芳紀」…