雑記

雑記 (43)

さて、射影加群の続きである。左 加群 が射影的であるためには、 が自由加群の直和因子である、すなわち、ある左 加群 に対して が自由であることが必要十分である。特に自由加群は射影加群である(逆は一般には成立しない)。(証明) 最後の主張からいくと、が…

雑記 (42)

米田の補題 (Yoneda Lemma) の証明。まず自然変換の射の集合 から、自然変換 を一つ取り出す。自然変換はそもそもは、「それぞれの対象に対してそれぞれの射を定める」対応のことだから*1、圏 の対象 に対応する射、は当然、定義することができる。恒等写像 …

雑記 (41)

「米田の補題 (Yoneda Lemma)」とは、あるいは、この双対表現として知られているものである。圏 を考える。それで、その圏 には、どんな魔物が住んでいるかもわからない「決死圏」かもしれないので、わかりやすく慣れ親しんだはずの「集合と写像」圏で考えた…

雑記 (40)

任意の左加群の短完全列、について、上図の2番目の短完全列が得られるような、左 加群 を「射影加群 (projective module)」、1番目の短完全列が得られるような左 加群 を「入射加群(injective module) 」という。が射影加群であるための必要十分条件は、上図…

雑記 (39)

環 上の二つの左加群 が与えられたとき、 の R 準同型全体を で表すと、これ()は次の演算により「アーベル群」であることがすぐに確認できる。ここで、 である。単位元は零写像 である。次を証明する。左 加群の完全列 と任意の左加群 に対して、以下は左完…

雑記 (38)

前回からの続き。 を可換環 の素イデアルとする。このとき、は積閉集合になる。(証明) まず、素イデアル は真のイデアル なので、。またなので 。 だとすると、 である。すると、 だから、 である。//この によって局所化されたの分数(商)環 を、特別に と書…

雑記 (37)

前の記事の続きである。 を可換環 の積閉集合とする。下の図で、環準同型写像 が与えられ、 の積閉集合 の要素を単元に移すとすると、図の準同型 が同型を除いて唯一つ存在することを証明する。 まず、 であるが、 から、 であり、 したがって、 と書けるこ…

雑記 (36)

環の局所化について。可換環 の「積閉集合(multiplicatively closed set)」と呼ばれる部分集合の要素が必ず逆元を持つように(単元になるように)、可換環 を拡げた分数環または商環(ring of quotients) を構成することをの による「局所化(localization)」と…

雑記 (35)

ほとんど定義だけの話である。二つの環 の間に環準同型 が与えられたとき、特に を 上の代数 (または、単に 代数) という。こういった定義を見ると、大学の線形代数の講義で線形空間の定義に出逢い、「長さ」と「向き」をもった量であるベクトルの固定的イメ…

雑記 (34)

テンソルのところで、「普遍性」に触れたが、ここでは直積を使って、よくあるような説明をしておく。射影 が与えられ、図のように任意の写像 があるとき、について、 と定義すれば、明らかにが成立する。また、 で に、 で に移る の要素は、 しかないので、…

雑記(33)

下の群と準同型の可換図式で各行は群の拡大とする。が同型ならば、 も同型である。(証明) 1) が全射であること:任意の をとる。 となる が存在する( は全射から)。 となる が存在する( は全射から) である(から)したがって、したがって、 となる が存在する…

雑記 (32)

前の記事の続き。外部半直積によって定義した半直積を と表記し、 を それぞれ、と自然に同一視する。 を仮定すると、 なので、となり、 である。逆は明らかので、したがって、 である。なので である。また、 これから、 である。以上から、外部半直積の定…

雑記 (31)

ところが、一般の非可換な群の場合は、前の記事のようにはならない。上の図で、短完全列であることから、 はの正規部分群である。最初の方の図で、を満たす全準同型写像 が存在するならば、 であることから、 も正規部分群である。したがって、 は直和(直積)…

雑記 (30)

前回の続きである。加群(アーベル群であることに注意)の短完全列を以下とする。このとき、(は「分裂単射」である)(は「分裂全射」である)が成立し、短完全列は「分裂(split)」 するという。(証明) まず が「分裂単射」であると仮定する。すると、準同型写像 …

雑記(29)

前回の完全系列の続きなんだけど、 の写像を包含写像(埋め込み写像) と見ることもできる。今度は、 を 加群として、以下のような準同型 が存在するとする。このとき ならば、 は単射であり、 は全射である。そうすると、であることが証明できる。 (証明) は…

雑記 (28)

今月号の「新潮」に蓮實重彦の『「ポスト」をめぐって — 「後期印象派」から「ポスト・トゥルース」まで』を読んだが、「発展が遅れている国の大学ほど、若い年齢の学生たちに初年度から専門教育を受けたがらせ、the general education を軽視しがちだとして…

雑記 (27)

一番最初に書いたが、共軛変換を置換で書けば結局、こういうことである。対称群 を例にとってみると、 共軛類の数は の分割で決まるので、長さ (計): 長さ (計 ): 長さ (計 ): 長さ (計 ): 長さ (計 ) それで の位数は なので、約数は あって、 で形式的に表…

雑記 (26)

シローの定理の証明の続き。残りの(2)、(3) および (4) の証明。2) の 部分群はあるシロー部分群に含まれる。(証明) 1) でその存在を示したシロー 部分群の一つを とする。 の左剰余集合 を考えると、剰余集合の濃度は であり と素である。任意の 部分群 を …

雑記 (25)

シローの定理の証明。まず(1)の証明だけ書く。1) 有限群 には、その位数の素数分解に含まれる任意の素数 に対して、シロー 部分群が必ず存在する。(証明) (は素数、は互いに素)とする。の 個の要素からなる部分集合 をすべて集めた集合を考える。すなわち、…

雑記 (24)

有限群のSylow の定理をやろうと思ったんだが、証明は時間がなさそうなので補題だけやる。(補題) を素数とするとき、2項係数について、が成立する。(証明) すでに有限体を係数とする一変数多項式 で、となることは、示した。であることは に関する帰納法です…

雑記(23)

慣れるために少し簡単な例をやる。群 の位数をとする。ただし、 は素数で、は 以上の整数とする。このとき、 の中心 の位数は、 で割り切られる。(証明) を二つ以上のの要素を含む共軛類(軌道)とすると、類等式の結果から、が成立し、の濃度は |G|の約数であ…

雑記 (22)

置換は、群 から集合 への作用だと思えばよい。実際、と定めれば、実際に作用になっていることがすぐに確認できる。巡回群 を考え、とすると、と位数 4であることがわかる。軌道分解してみると、 最初の軌道の固定化部分群は 次の軌道の固定化部分群は 三番…

雑記 (21)

集合 から集合自身への全単射写像全体の集合を考え、写像の合成を演算とし、恒等写像を単位元、逆写像を逆元とした群を一般変換群 と呼ぶ。一方、集合 から集合自身への写像全体の集合を と書くが、 である。 が有限集合で濃度が のとき、 を対称群 として書…

雑記 (20)

「内部自己同型」という言葉は、自身の要素から得られる自己同型という意味だと思う。前回の記事から、であって、これが自己同型であったが、は、「作用」で説明したように、準同型となり、この の像 を と書き、「内部自己同型群」と呼ぶ。内部自己同型群は…

雑記 (19)

いったん群の「作用」という概念が定まれば、今度は群それ自身への「作用」というのも定義できる。一番最初の「置換 (permutation)」で取り上げた「共軛 (conjugate)」が内部自己同型(inner automorphism)射として出てくる。共軛作用による自己同型を「内部…

雑記 (18)

ちょっと寄り道になるかもしれないが、基本的に寄り道が大好きなので、対称性を考慮して数え上げを行う「バーンサイドの補題」に触れておく。ただし、この補題を更に発展させたものに「ポリアの定理」があるが、それには触れない。前回の記事の最後の結果を…

雑記(17)

群 が集合 に作用するという概念に少し慣れたところで、作用というものを考えてみると、結局、群 と、集合 における「自己同型写像(automorphism) 」全体が作る自己同型群は「準同型(homomorphism)」であって、「作用」があれば と の準同型を与える準同型写…

雑記(16)

線形空間が直和分解ができることと射影(1の分割)が存在することは同値である。準同型写像 を合成すると、となるので、固有値があるならば、となることは明らかであり、これを( の)「スペクトル分解」と呼ぶ。射影の性質 、を使えば直ちに、 であることがわか…

雑記(15)

射影というものの見方。行列 の最小多項式 ( )をとおく。いま、と定めると の最大公約式は となるので、となる が存在する。そこで、とすれば、となって「1 の分割」が定まる。 とすれば、ここで、 とすれば、したがって がわかる。また、であることもすぐに…

雑記 (14)

前の有限アーベル群の証明をチェックしたが、ジョルダン標準形に関しても、ほとんど話しが終わっているので、長々と書く必要はなさそうだ。結局、以前やったスミス標準形の変形をに適用して三つの基本変形を行うのは、整数が多項式に変わるだけの話だ。ただ…