映画

イメージの本

昨日見たゴダールの最新作『イメージの本』は 5つのパートで構成されているが、その内の列車の主題から構成された部分と作品の最後の部分の末尾には、マックス・オフュルス監督の『快楽』(Le Plaisir, 1952) が引用されている。見終わってからのことだが、…

1967 年

前回の記事に 1967 年の前後のことを書いたが、『ルパン三世』の漫画アクションの連載開始は 1967 年であることを知った。ちばてつやの『あしたのジョー』が少年マガジンに連載開始されたのは、1967 年12 月だから、ほぼ同じ時期である。1967 年は、戦後すぐ…

893 愚連隊

残念ながらリアルタイムで見た訳ではないけど、東映が他社を圧倒していた 60 年代のやくざ映画全盛の頃って本当に面白いなあと回顧しつつ、全編無許可で京都をロケーションしたという、まるでヌーヴェルヴァーグのような味わいのある、たまらなく愛おしい中…

日本暗殺秘録

「中島貞夫」「チャンバラ」でちょうど50年前の 1969 年の 『日本暗殺秘録』の冒頭で若山富三郎が桜田門外の変で井伊直弼を襲撃した一人を演じた雪のシーンを思い出し、再見した。1969 年は、全共闘が盛んだったゲバルト時代で、この年は、東大入試が中止に…

多十郎殉愛記

巨匠、伊藤大輔監督に捧げられた (1929 年、伊藤大輔と大河内傳次郎が初めて日活太秦でコンビを組んだ『長恨』がもとになっている) このチャンバラ映画を 84 歳の中島貞夫監督が京都のスタッフとともに作ったと聞いて、これは見ないわけにはいかないと思って…

真夏の夜のジャズ

マリリン ・モンローの写真で有名な写真家バート・スターンがみずから撮影・監督・制作した第四回ニューポート・ジャズ祭 (1958 年、当時は、7 月 4 日、合衆国独立記念日にまたがって開催された) のドキュメンタリー・フィルムがある。オープニングは、ニュ…

奥様は芳紀十七才 (2)

この映画の DVD を発売して欲しいと真剣に思っているのは、日本では青山真治監督が八年がかりで Twitter しているのを見たぐらいなので、もう少し書いておこう。青山監督も書いているけど、この映画、デビー・レイノルズ (『雨に唄えば』の女優といって通じ…

奥様は芳紀十七才

1954 年のフランク・タシュリン監督の RKO テクニカラー作品で、ディック・パウエル、デビー・レイノルズ、アン・フランシスが出演していて、撮影は Nicholas Musuraca というのに、日本語版の DVD が未だに出ないのは何か事情があるのであろうか? 「芳紀」…

The Mule

バングラデシュから帰る飛行機で『ボヘミアン・ラプソディ』を見たが、高校時代にこの曲を合唱して歌詞を未だにほとんど覚えていて懐かしかったためである。その曲が納められているアルバムのタイトル ”A Night at the Opera" とあの口髭から、当然ながら、1…

That Old Feeling

この曲が挿入歌として使われたアーヴィング・カミングズ監督の『1938 年のヴォーグ』(1937, Walter Wanger's Vogues of 1938) は、本編を見たことがなく、下にあるクリップを見たきりである。 したがって、周辺的な事実しかわからないのだが、ともかくこの作…

雑記(3)

ちょっと前の本読んでいたら「昨日マー坊 今日トミー」というフレーズが出てきて、これって『圭子の夢は夜ひらく』の歌詞の一部だってすぐに分かってしまうなあ。『夢は夜ひらく』はもちろん藤圭子のものも好きだけど、園まりと三上寛のものも良い。三上寛の…

Sway

¿Quién será? は、1953 年に作られて、1954 年に Dean Martin が “Sway” として英語の歌詞で歌った。ラテン系の歌手をほとんど知らないので、掲載が出来ず残念である。ただ、Pedro Infante の1953年のクリップはメキシコ映画の黄金期のものだと思って興味深…

雑記 (3)

今日は JR 四ツ谷駅の近くの純喫茶に入ってなかなか良かったけれど、音楽がほとんどビートルズだけなのには参った。“Please Mr. Postman” 流すなら 1961 年の The Marvelettes のものにして欲しかった。それにしても凄い髪型。 前回の記事で『日曜日の人々』…

雑記 (2)

前回の記事に関連して。 中野忠晴の『小さな喫茶店』の元歌である “In einer kleinen Konditorei” (1929) を今回初めて聞いた。 このクリップには、1930年の映画、『日曜日の人々』(Menschen am Sonntag) の一部が使われていて眩暈のような感覚に襲われた。…

One Boy

これは、Joanie Sommers の1960 年のデビュー曲で、もともとはエルヴィス・プレスリーがモデルのミュージカルの挿入歌であった。日本だとキャンディーズや松田聖子も歌っている。松田聖子はちょうど声を潰してしまった時期であり、澤井信一郎監督の『野菊の…

雑記

今月号の文芸誌「新潮」に蓮實さんが「選ぶことの過酷さについて —濱口竜介監督『寝ても覚めても』論」を発表している。蓮實さんがここまで擁護し煽動するのも久しぶりのような気がする。止むに止まれない理由で未だ映画を見ていない人もいるかもしれないの…

Song of the Vagabonds

今月号の文芸誌『群像』に松竹の城戸四郎について蓮實重彦が書いていたので『蒲田行進曲』の元歌である “Song of the Vagabonds” を掲載する。 前回の記事の1936年の第一次黄金期の日本映画のことをもう少しだけ書くと、日本の1936年の年間映画館入場者数は …

雑記

1936 年というと、日本では、2.26 事件が起き東京に戒厳令がひかれた年にあたるが、この年、日本映画に奇跡が起きる。「第一映画社」という、いささか胡散臭い映画会社から、女性映画を専門にした溝口健二監督によって『浪華悲歌』『祇園の姉妹』という二本…

雑記 (3)

雑誌ユリイカの濱口竜介監督(『ハッピーアワー』と『寝ても覚めても』しか見たことがない) の特集号を初めて読んだけど、冒頭の蓮實重彦さんとの対談で、イメージの類似を扱った映画の例として、ヒッチコックの『めまい』を蓮實さんが挙げているのは当然とし…

雑記(2)

何気なしに Twitter で『寝ても覚めても』をチェックしてみると、「主人公の女性に共感できない」という趣旨の発言が思ったよりも少なくて人事ながら良かったと思う。若い女性達が最近とみに保守的になっているという話もチラホラと聞くので、よもやこの映画…

雑記

『寝ても覚めても』は映画館に行ったけれども、公開中だから何も書かない。代わりに昨日の記事を補足すると『めまい』ではキム・ノヴァクが前半ではマデリンを演じ、後半はジュディを演じてその二人が実は同一人物であったというよくある話のように思えるが…

Twilight Time

日本に帰ってくると暑いのなんのって。バングラデシュの方がましだった。まるで『寝ても覚めても』の公開日にあわせて帰ってきたようだけど、それは違うぞ。見る前に余計なものは読まないようにしているが、東出昌大が一人二役らしい。ヒッチコックの『めま…

Twenty Flight Rock

フランク・タシュリン監督の『女はそれを我慢できない』(1956, The Girl Can’t Help It) にある Eddie Cochran の曲。ジャン=リュック・ゴダールの 1957年度のベスト・ワンは、もちろんニコラス・レイ監督の『にがい勝利』(Bitter Victory) だが、フランク・…

Bye Bye, Blackbird

2009 年のマイケル・マン監督の映画『パブリック・エネミーズ』は、この監督の作品としては良い出来だとは思わないものの、 “Bye Bye, Blackbird” という曲がこの作品の中で重要な役割をしていたのは周知の通りである。そして、この曲もまた『彼奴は顔役だ!…

Dancing With Tears in My Eyes

これも映画『彼奴は顔役だ』で流れていた。 1930: Nat Shilkret and his Orchestra: Regent Club Orchestra: Ruth Etting: Joe Venuti and his New Yorkers: Ben Selvin and his Orchestra: Sweet and Low: Picaddily Dance Band: 1947: Peggy Lee: 1948: Le…

Anna (El Negro Zumbón)

1951年のアルベルト・ラットゥアーダ監督の同名の映画『アンナ』からだが、シルヴァーナ・マンガーノの歌は吹き替えである。この作品も含めて、イタリアン・ネオリアリズモを支えた一人であるこの監督の作品を恥ずかしながらほとんど見ていないのだが、それ…

雑記

プリシラ・レインの出演した映画というとアルフレッド・ヒッチコック監督の『逃走迷路』(1942, Saboteur) を思い出す人もいるかもしれないが、個人的にはフランク・キャプラ監督の最良の作品の一本である『毒薬と老嬢』(1944, Arcentic and Old Lace) で、ケ…

I’m Just Wild About Harry

アナトール ・リトヴァク監督がわずか二日で降板してしまい、ラオール・ウォルシュ監督が後を引継いで完成させたジェームズ・キャグニー主演の映画『彼奴は顔役だ!』(1939, The Roaring Twenties) で使われている曲として、プリシラ・レインが “My Melanchol…

Give Me a Band and My Baby

“Big Girls Don’t Cry” の記事で 1956 年度のジャン=リュック・ゴダールのベストテン (カイエ・デュ・シネマ) にある リチャード・クワイン監督の『マイ・シスター・アイリーン』(My Sister Eileen) は、米国では 1955 年度の公開である。日本では劇場公開さ…

I’ve Got My Love to Keep Me Warm

『陽気な街』(On the Avenue) を見て Alice Faye の魅力に惹かれたところなので、この映画の中で Dick Powell と歌うシーンがある Irving Berlin によるこのスタンダードを紹介する。実際、このスタンダードが初めて紹介されたのは 1937 年のこの映画であっ…