代数の初歩

雑記 (94)

これで終わり。入口に来るまで三ヶ月近くかかった。 を満たす の多項式 が存在する。(証明)前の記事のホロノミー加群 を考える。ホロノミー加群は、アルティン加群である。したがって、 の部分加群を と定義すると、降鎖列は必ずどこかで止まる。つまり、あ…

雑記 (93)

は、ホロノミー 加群である。(証明) 前々回の記事の命題から、 が次の条件をみたす下に有界なフィルター をもつことを示せばよい。条件: 各 について、 によらない定数 があって、 多項式 の次数を とし、 について、と定義する。ここで は、 についての次数…

雑記 (92)

変数 と多項式 に対して を作用を受ける対象一般の象徴的記号とする。多項式環 上のワイル代数 の要素 を以下の規則で に作用させる。//これを基本に、ワイル代数 上の加群を次のように定める。1) 基底を とし、階数 の自由加群とする。 2) 上の作用で逆元 …

雑記 (91)

有限生成左 加群 について、その次元 が 以下のとき、 をホロノミー加群(Holonomic D-module) という。Bernstein 不等式 により、このことは、ホロノミー加群であれば、 または、 であるということである。//を 加群の短完全列とする。このとき、次の 1), 2)…

雑記 (90)

Bernstein の不等式である。 を有限生成左 加群とすると、次元について、 が成り立つ。//※ 前の記事の最後と併せると、 のとき、 ということである。ここの証明は Joseph という人のもので、最初に次の補題を証明する。// 上のフィルター加群 は、 のとき、,…

雑記 (89)

を有限生成左 加群の短完全列とする。このとき、(1) (2) ならば、が成立する。(証明) に「良い」フィルター をとり、 とおくと、が完全列になることは、 のイデアル が でフィルター付きのイデアルになることに注意すれば、明らかである。そうすると、以下の…

雑記 (88)

ワイル代数 を Bernstein フィルターによるフィルター環と考える。 を有限生成左 加群とし、 に「良い」フィルター を一つ選ぶ。このとき、有理係数多項式 で、を満たすものが唯一存在する。更に、 の次数を とすると、その最高次の係数はある自然数 に対し…

雑記 (87)

フィルター付き環 上の下に有界なフィルター付き加群 が次の二つの条件を満足するとき、加群 のフィルター は「良い」という。1) 各 は、 上有限生成である。 2) //フィルター付き環 は下に有界で、 が 上の有限生成可換代数であるとする。このとき、下に有…

雑記 (86)

下に有界なフィルター加群 の要素 について、 とおく。もし、 が 上 を生成するならば、 は 上 を生成する。特に、 が 上有限生成ならば、 も 上有限生成である。(証明) なので、 の任意の要素 が、 上、 で生成されることを についての帰納法で示せばよい。…

雑記 (85)

これは、前の記事とまったく同じやり方で証明できるので、証明は割愛する。これ以降、 は標数 の体である。ワイル代数 においてと定義してもフィルター環になる。このとき、次が成立つ。 のとき、 について、 //ワイル代数 の Berstein フィルター について…

雑記 (84)

今度はフィルターの定義である。最初の定義はワイル代数だけに限らないが、一般的な環、加群に対するフィルターの定義である。環 がフィルター を持つとは、各整数 に対して、 の部分加法群 が定まっていて、,,,を満たすことをいい、このとき をフィルター付…

雑記 (83)

を標数 の体とする。このとき、ワイル代数 は単純環である。(証明)最近の記事でも確認した「単純環」の定義から、ワイル代数 に存在する両側イデアルが自明なものだけであることを証明すればよい。そのためには、 の 両側イデアルを として、 に が含まれて…

雑記 (82)

を標数 の体 上の 次元線型空間、 をその双対空間とする。 を線型空間 上のテンソル代数 の両側イデアルで、で生成されるものとする。このとき、。ただし、双対基底 をとるとき、 。(証明) まず、この文章は何を言っているのか読み解くと、 次元 - 線型空間 …

雑記 (81)

を標数 の可換環とする。このとき、ワイル代数 は、 上、 で生成され、その要素は一意的な表示 をもつ。ただし、 に対して、 とする。(証明) 最初のワイル代数 は、 上、 で生成されるというのは、前の記事の説明から明らかである。「交換関係」を使って項の…

雑記 (80)

ワイル代数に入った。可換環 上の 変数多項式環 を と略記し、その 加群としての自己準同型環を と書く。 が、Leibniz 則、 を満たすとき、 を 上の「導分(または、微分)」という。いま、 個の自然数の組 を「多重指数」といい、多重指数 に対し、対応する単…

雑記 (79)

前の記事の続き。可換ネーター次数付き環 の生成元 の次数を とする。そうすると、 上の有限生成次数付き加群 ( のとき とする) の Hilbert-Poincaré 級数 は、前の記事の定理から、と書くことができる。ここで、 における「極の位数」 (以降、単に と書く) …

雑記 (78)

可換ネーター次数付き環 上の有限生成次数付き加群 ( のとき とする) の Hilbert-Poincaré 級数 について、ある整係数多項式 が存在し、と書ける。(証明) 上、 の生成元 の個数 についての帰納法によって示す。 のとき: であるから、 は有限生成 加群である…

雑記 (77)

まだ、準備が少しだけど要るなあ。Hilbert 多項式。 を(左) 加群の準同型写像とするとき、 の「余核(cokernel)」 を と定義する。余核は、定義域の核の終域における双対概念である。アーベル群であれば、 が正規部分群なので、 は群であるし、 は が全射であ…

雑記 (76)

すでに、整数の分割のときに使っているが、Hilbert-Poincaré 級数のために、形式的冪級数を考える。一般に可換環 に対して、無限級数 を級数の収束や発散といった解析的考察には立ち入らず、形式的表現とみたとき、 を係数とする形式的冪級数という。形式的…

雑記 (75)

次数環 上の加群 で、 について、部分加法群 が定まっていて、となるものを「次数付き加群 (graded module)」という。 の要素 を次数 の斉次要素と呼び、次数を と書くのは、環の場合と同じことである。次数環 のイデアル が、 として、 と直和分解するとき…

雑記 (74)

やっと次数付き環に入った。環 について、各 に対して、部分加法群 が定められていて、 のとき、 を「次数付き環 (graded ring)」という。 を 次斉次部分、その要素 を次数 の斉次要素という。 は常に成立するので、 は のイデアルである。各 は両側 加群で…

雑記(73)

これ、よくわからないなあ。単に列ベクトルに左から正方行列をかけるだけのようにしか思えないので、その線でいこう (多分、間違っている)。 を可除環とするとき、単純アルティン加群 上の単純左加群 は、自然な加群 に同型である。※ もう一回定義を確認して…

雑記 (72)

前の記事の続きである。 を有限群、 を代数閉体とすると、前の Maschke の定理から、群環 は半単純アルティン環である。このとき、次がいえる。となり、単純左 加群の同型類は 個で、その 上の次元 について、が成立する。(証明) は、半単純アルティン環であ…

雑記 (71)

群環について。有限群 と可換環 に対して、 を次の形式和を要素とする集合として定義する。 として、演算として、次の加法と乗法を定義する。このとき、 を「群環」と呼ぶ。 は 上の代数であるとともに、 の元を基底とする (群の積に対応する積が定義されて…

雑記 (70)

左アルティン環 は、左ネーター環である。(証明) の左イデアルが組成列をもつことを示す。 はJacobson 半単純左アルティン環だから、有限生成であり、組成列を持つ。また、左アルティン環の は冪零イデアルだったから、 となる が存在する。だから、 は、半…

雑記 (69)

「Artin-Wedderburn の定理」の証明の残りの部分である。(定理)次は同値である。(1) 左 加群 は半単純加群である。 (2) すべての左 加群は半単純である。 (3) すべての左 加群は射影加群である。 (4) は半単純左アルティン環である。 (5) は左アルティン環で…

雑記 (68)

「Artin-Wedderburn の定理」の証明の続き。(定理)次は同値である。(1) 左 加群 は半単純加群である。 (2) すべての左 加群は半単純である。 (3) すべての左 加群は射影加群である。 (4) は半単純左アルティン環である。 (5) は左アルティン環で、有限個の単…

雑記 (67)

半単純アルティン環についての構造定理である、「Artin-Wedderburn の定理」である。次は同値である。(1) 左 加群 は半単純加群である。 (2) すべての左 加群は半単純である。 (3) すべての左 加群は射影加群である。 (4) は半単純左アルティン環である。 (5…

雑記 (66)

Schur の補題が出てきたが、これは群の表現で必ず出てくるものである。群 の線形空間 への作用として、普通よく定義されるのは、準同型写像 が与えられたとき、それを「表現」ということである。より直感的な言い方をすれば、「表現」とは、群 の要素 に、 …

雑記 (65)

左 加群 について、 の任意の部分加群が直和因子であるとき、 を「半単純 (semisimple)」あるいは「完全可約 (completely reducible)」 という。半単純加群の部分加群、剰余加群はまた半単純である。(証明) とする。 半単純加群の定義より、 と書ける。 とし…