雑記 (82)

 V標数  0 の体  K上の n次元線型空間 \hat{V}をその双対空間とする。 I(V)線型空間  \hat{V} \oplus V 上のテンソル代数 T(\hat{V} \oplus V)の両側イデアルで、

 \begin{matrix} [x,y],[\xi, \eta], [\xi, x] - \xi(x)  &  (x, y \in V, \xi, \eta \in \hat{V}) \end{matrix}

で生成されるものとする。このとき、

 T(\hat{V} \oplus V)/I(V) \simeq W_n(K)

ただし、双対基底  \xi_i(x_j) = \delta_{ij}  (\xi_i \in \hat{V}, x_i \in V) をとるとき、 x_i \mapsto X_i, \xi_i \mapsto \partial_i

(証明)
まず、この文章は何を言っているのか読み解くと、

 n次元 K-線型空間  V の基底を  x_1, \cdots, x_n とする。また、 V の双対空間  \hat{V} の双対基底を  \xi_1, \cdots, \xi_n とする。ここで、
 \xi_i(x_i) = \delta_{ij} である。

このとき、テンソル代数  T(\hat{V} \oplus V) から ワイル代数  W_n(K)への  K準同型写像

 x_i \mapsto X_i \\ \xi_i \mapsto \partial_i

によって決めると、 T(\hat{V} \oplus V)/I(V) \simeq W_n(K) という同型を引き起こす。ただし、 I(V)は、テンソル代数  T(\hat{V} \oplus V) の両側イデアルで、その生成元は以下のものである。

 \begin{matrix} [x_i,x_j],[\xi_i, \xi_j], [\xi_i, x_j] - \delta_{ij}  &   \end{matrix}

( 1 \leq i, j \leq n)

それで証明だが、任意のテンソル代数 T(\hat{V} \oplus V) の要素  v は、 i \in I として、

 v \\= i+ \sum c_{ij}x_1^{\otimes \beta_1}\otimes \cdots \otimes x_n^{\otimes \beta_n} \otimes \xi_1^{\otimes \alpha_1} \otimes \cdots \otimes \xi_n^{\otimes \alpha_n}

の形に表すことが可能である。準同型写像

 \varphi: T(\hat{V} \oplus V)/I(V) \to W_n(K)

 \varphi(v) = \sum c_{\alpha, \beta}X^{\beta}\partial^{\alpha}

で定義すれば、全射であることは明らかである。

単射であることは \varphi(v) = 0 のとき、 c_{\alpha, \beta} =0 を証明すればよいが、もし、そうでないとしたら、前の記事の証明を参考にして、

 \varphi(v)X^{\alpha} = \sum_{\beta}\alpha!c_{\alpha, \beta}X^{\beta}

となるが、左辺は零で、右辺は  c_{\alpha, \beta} \neq 0 であれば (標数 0なので) 零でなく矛盾する。//

雑記 (81)

 R標数 0可換環とする。このとき、ワイル代数  W_n(R) は、 R 上、 X_1, \cdots, X_n, \partial_1, \cdots, \partial_n で生成され、その要素は一意的な表示

 P(X, \partial) \\
= \sum_{|\alpha|  < \infty} p_{\alpha}(X)\partial^{\alpha} \,\,(p_{\alpha}(X) \in R[X])
 = \sum_{|\alpha|  < \infty, |\beta| < \infty} c_{\alpha, \beta}X^{\beta}\partial^{\alpha} \,\,(c_{\alpha, \beta} \in R)

をもつ。ただし、 \alpha = (\alpha_1, \alpha_2, \cdots, \alpha_n)に対して、
 \partial^\alpha := \partial_1^{\alpha_1}\partial_2^{\alpha_2} \cdots \partial_n^{\alpha_n}
とする。

(証明)
最初のワイル代数  W_n(R) は、 R 上、 X_1, \cdots, X_n, \partial_1, \cdots, \partial_n で生成されるというのは、前の記事の説明から明らかである。

「交換関係」を使って項の積の順序を入れ替えたり、二つに分けたりして、順序が入れ替わっている項を一つずつ上の形に正規化していけば、正規化されていない項は一つ減るが、自然数の集合には最小値が存在するので、無限には続けられない。したがって上の表示は存在する。

一意性は、 |\alpha| についての帰納法で示す。

 |\alpha| = 0 のとき、 |\beta| > 0 ならば、

 X^{\alpha}\partial^{\beta}=  1\partial^{\beta}= \partial^{\beta} 1 = 0

したがって  P(X, \partial) =p_0(X)\partial^0= p_0(X)1 である。

次に  |\alpha| = k \neq 0 とする。帰納法の仮定を使うと、 |\alpha| < k に対して p_{\alpha}(X) が一意的に定まっている。

 Q(X, \partial) \\
:= P(X, \partial) - \sum_{|\beta| < k}p_{\beta}(X)\partial^{\beta}\\
= \sum_{|\beta| \geq k}p_{\beta}(X)\partial^{\beta}

とすると、

から、

 Q(X, \partial)X^{\alpha} = \alpha!p_{\alpha}(X)

となるが、ここで  p_{\alpha}(X) と違う表記  p^{\prime}_{\alpha}(X) があったとすると、

 \alpha!p_{\alpha}(X) =  \alpha!p^{\prime}_{\alpha}(X)

となって、 R標数は零で、 \alpha は整数だから、

 p_{\alpha}(X) =  p^{\prime}_{\alpha}(X)

となって両者は一致する。//

雑記 (80)

ワイル代数に入った。

可換環  R 上の  n 変数多項式環  R[X_1, X_2, \cdots, X_n] R[X] と略記し、その  R加群としての自己準同型環を  \mathrm{End}_RR[X] と書く。

 \theta \in \mathrm{End}_RR[X] が、Leibniz 則、

 \theta(fg) = \theta(f)g + f\theta(g)
 (f, g \in R[X])

を満たすとき、 \theta R上の「導分(または、微分)」という。

いま、 n 個の自然数の組  \alpha \in \mathbb{N}^nを「多重指数」といい、多重指数  \alpha = (\alpha_1, \alpha_2,\cdots, \alpha_n)に対し、対応する単項式を

 X^{\alpha}:=X_1^{\alpha_1}X_2^{\alpha_2}\cdots X_n^{\alpha_n} \in R[X]

と略記し、その次数を  |\alpha| := \sum_{i=1}^n \alpha_i と書く。したがって、一般に  k次の  n 変数多項式は、

 \sum_{|\alpha| \leq k} c_{\alpha}X^{\alpha} ( c_{\alpha} \in R)

と書ける。

 1 \leq i \leq n と多重指数  \alpha \in \mathbb{N}^n に対して、

 \alpha \langle i \rangle := (\alpha_1, \cdots, \alpha_i -1, \cdots, \alpha_n)

とおき、 \partial_i \in \mathrm{End}_R[X]

 \partial_i (\sum_{|\alpha| \leq k} c_{\alpha}X^{\alpha}) := \sum_{|\alpha| \leq k} c_{\alpha} \alpha_i X^{\alpha \langle i \rangle}

と定義する。特に、

 \partial_i X_j = \delta_{ij}

である。

任意の導分  \theta は、生成元  X_1, \cdots, X_n に対する作用によって一意的に定まるから、

 \theta X_i = a_i(X) \in R[X] とおくと、 \theta = \sum_{i=1}^{n}a_i(X)\partial_i と一意的に表示できる。したがって、 R 上の導分全体を  \mathrm{Der}_RR[X] と書くと、

 \mathrm{Der}_RR[X] = \bigoplus_{i=1}^{n} R[X]\partial_i

となり、これは  R[X]上の  \partial_1, \partial_2, \cdots, \partial_n を基底とする階数  n の自由加群である。

多項式  f \in R[X] 多項式  p \in R[X] を乗ずる作用  f \mapsto pf は、\mathrm{End}_RR[X]の要素であり、この作用を単に  p \in \mathrm{End}_RR[X]と書くと、それは  R[X] から \mathrm{End}_R R[X]の(自然な)単射と見なせる。

このとき、 R[X] Der_R[X] で生成される  \mathrm{End}_R R[X] の部分環を  R 上の  n 次のワイル代数といい、 W_n(R) と書く。

※ 要するに、 X_i(f) = x_if \partial_i (f) = \frac{\partial f} {\partial x_i} という作用素Leibniz 則の下の代数である。//

 W_n(R) の要素  P, Q に対して、交換子を

 [P, Q] := PQ - QP

と定義すると、次が成立するのは、「明らか」である。

 1 \leq i , j \leq n について、

 [\partial_i, X_j] = \delta_{ij}
 [X_i, X_j] =  [\partial_i, \partial_j]= 0

導分  \theta \in \mathrm{Der}_R R[X], f \in R[X] に対して、

 [\theta, f] = \theta(f)

雑記 (79)

前の記事の続き。

可換ネーター次数付き環  R = R_0[x_1, x_2, \cdots, x_r]の生成元  x_1, \cdots, x_r の次数を  deg(x_i) = n_i =1 とする。そうすると、 R上の有限生成次数付き加群  M ( n < 0 のとき  M_n = \{0\} とする)の Hilbert-Poincaré 級数  P_{\lambda}(M, T) は、前の記事の定理から、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{f_M(T)}{(1 - T)^r}

と書くことができる。

ここで、 T = 1 における「極の位数」 d(M) (以降、単に d と書く)とは、 P_{\lambda}(M, T) Tの有理函数とみたとき、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{\psi(T)}{(1 - T)^{d}}

 \psi(T) \in \mathbb{Q}(T), \psi(1) \neq 0

となる  d \in \mathbb{Z} のことだったので、

 f_M(T) = (1 - T)^{r -d}\psi(T)

とおけば、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{\psi(T)}{(1 - T)^{d}}

となる。ここで、 \psi(1) \neq 0 という条件から、 \psi(T) は実際には、整数係数の多項式である(要するに、 f_M(T) 1 - T の因子があればそれを全て除して \psi(T)にするということである)。

ここで、形式的冪級数で、

\frac {1}{1-T} := (1 - T)^{-1} = \sum_{n=0}^{\infty} T^n

であったから、

 (1 - T)^{-d}

 T^i の係数は  d 個のものから重複を許して  i個とる重複組合せに他ならないから、

 \,_{d}H_i = \begin{pmatrix}d +i-1\\i \end{pmatrix} = \begin{pmatrix}d +i-1\\d -1 \end{pmatrix}

であり、

 (1 - T)^{-d} = \sum_{i = 0}^{
\infty} \,_{d}H_i T^i

と表せる。

ここで、整係数多項式  \psi(T)

 \psi(T) = \sum_{i = 0}^{N} a_i T^i

とすれば、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{\psi(T)}{(1 - T)^{d}}

を展開した T^n の係数  \lambda(M_n) は、 n \geq N のとき、

 \lambda(M_n) = \sum _{i = 0}^{N} a_i  \begin{pmatrix}d+n- i-1\\d -1 \end{pmatrix}

となる。

ここで、右辺の二項係数を  n で展開した多項式のleading term (最高次項) は、

 \frac {1}{(d -1)!}n^{d -1}

であり、 \lambda(M_n) n多項式として、その leading term は、

 \frac {m(M)}{(d -1)!}n^{d -1}

で、

 m(M) = \psi(1) = \sum_{i = 0}^{N} a_i

である。

以上から、

 \lambda, M によって定まる  d -1 次 の多項式  \phi_M(T) \in \mathbb{Q}[T] が存在して ( d = 0 のときは、 \phi_M(T) =0 とする)、 n が十分大きいとき、

 \lambda(M_n) = \phi_M(n)

が成立する。更に、 \phi_M(n) の最高次  T^{d -1} の係数は、

 \frac {m(M)}{(d -1)!}

の形をしており、 m(M) 0 でない整数である。

この多項式  \phi_M(T) を加法的函数  \lambda に関する  M の「ヒルベルト多項式 (Hilbert Polynomials)」という(与えられた整数の点を必ず全て通る有理補間式のようなもの?)。//

最後はよくわからないんだけど、一応やってみる。

上と同じ仮定の下で、 \lambda M のみによる次数  d多項式 \chi_M(T) \in \mathbb{Q}が存在して、 n が十分に大きければ、

 \sum_{i=0}^{n}\lambda(M_i) = \chi_M(n)

が成り立つ。ここに、 \chi_M(T) の最高次  T^d の係数は、 m(M)/d! となる。

(証明)
二項係数の関係として、

 \begin{pmatrix} d + n - i \\ d \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} d + n - i -1 \\ d \end{pmatrix} \\
= \begin{pmatrix} d + n - i -1 \\ d -1 \end{pmatrix}

が成り立つことから明らか。 iを一つずつずらして各式を足し合わせればよい。//

雑記 (78)

可換ネーター次数付き環  R = R_0[x_1, x_2, \cdots, x_r]  (deg(x_i) = n_i) 上の有限生成次数付き加群  M ( n < 0 のとき  M_n = \{0\} とする)の Hilbert-Poincaré 級数  P_{\lambda}(M, T) について、ある整係数多項式  f_M(T) \in \mathbb{Z}[T] が存在し、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{f_M(T)}{\prod_{i=1}^r (1 - T^{n_i})}

と書ける。

(証明)

 R_0上、 R の生成元  x_1, \cdots, x_r の個数  r についての帰納法によって示す。

 r = 0 のとき:

 R = R_0 であるから、  M は有限生成  R_0 加群である。 M は有限生成であることから、十分大きな  n に対しては、 M_n = \{0\} となる。したがって、P_{\lambda}(M, T) は整係数多項式である。 f_M(T) = P_{\lambda}(M, T) であるので証明された。

 r > 0 とする。

 a \in M_n R の生成元  x_r  (deg(x_r) = n_r)を作用させる(かける)ことによって、 a \to x_ra という  R_0 加群準同型写像

 \varphi: M_n \to M_{n + n_r}

を定めることができる。

そうすると、

 K_n:= \mathrm{Ker}(\varphi), \\L_{n + n_r} := \mathrm{Coker}(\varphi) = M_{n+ n_r}/x_rM_n

として、次のような完全系列が得られる。

 0 \to K_n \to M_n \overset{\varphi}\to M_{n+ n_r} \to L_{n + n_r} \to 0

ここで、

 K:= \bigoplus_{n = 0}^{\infty} K_n

また、 m < n_r で、L_m = M_m として、

 L:= \bigoplus_{m=0}^{\infty} L_m

とすると、 K M の部分加群 L は剰余加群として、次数付き加群である。また、 K, L には、 x_r は作用していないので(0として作用しているので)、両者は R_0[x_1, \cdots, x_{r-1}]上、有限生成の次数加群である。そうすると、 K, L に対して帰納法の仮定を適用でき、

 P_{\lambda}(K, T) = \frac{f_K(T)}{\prod_{i=1}^{r-1} (1 - T^{n_i})}

 P_{\lambda}(L, T) = \frac{f_L(T)}{\prod_{i=1}^{r-1} (1 - T^{n_i})}

を得る。

すでに前の記事で証明したように、先程の完全列から、以下が加法的函数  \lambda について成立する。

 \lambda(K_n) - \lambda(M_n) + \lambda(M_{n+ n_r})- \lambda(L_{n+n_r})=0

これに、 T^{n+n_r}をかけて、すべてのn を加えると、

 P_{\lambda}(K, T)T^{n_r} -P_{\lambda}(M, T)T^{n_r}\\+ P_{\lambda}(M, T) - P_{\lambda}(L, T) + g(T)=0

となり、ここで、 g(T) は、 M_n, L_n n \leq n_r の寄与によって生じる整数係数の多項式である。

上式を整理すると、

 (1 - T^{n_r})P_{\lambda}(M, T) \\= P_{\lambda}(L, T) - P_{\lambda}(K, T)T^{n_r} - g(T)

となり、これに先程、帰納法の仮定によって得られた  P_{\lambda}(K, T) P_{\lambda}(L, T) の式を代入し、整理すれば、定理の主張が得られる。//

ここで、 T = 1 における「極の位数」 d(M) とは、 P_{\lambda}(M, T) Tの有理函数とみたとき、

 P_{\lambda}(M, T) = \frac{\psi(T)}{(1 - T)^{d(M)}}

 \psi(T) \in \mathbb{Q}(T), \psi(1) \neq 0

となる  d(M) \in \mathbb{Z} のことである。

雑記 (77)

まだ、準備が少しだけど要るなあ。Hilbert 多項式

 f: M \to M^{\prime} を(左)  R加群準同型写像とするとき、 fの「余核(cokernel)」  \mathrm{Coker} (f)

  \mathrm{Coker} (f) := M^{\prime}/\mathrm{Im}

と定義する。余核は、定義域の核の終域における双対概念である。アーベル群であれば、 \mathrm{Im}(f)正規部分群なので、  \mathrm{Coker} (f) は群であるし、  \mathrm{Coker} (f) = \{0\} f全射であることを意味する。  \mathrm{Ker} (f) = \{0\} f単射であることの双対である。//

 m 個のものから n個を重複を許してとる「重複組合せ」の総数 \,_mH_n は、二項係数を使って、

 \begin {pmatrix} m+n -1\\n \end{pmatrix}

と表せる。証明してみると、

 |X| = n, |Y| =m として X, Y には順序が定められているとする。単射  X \to Y の集合を考える。狭義単調増加な写像の数は明らかに  \begin {pmatrix} m \\n \end{pmatrix}である。重複を許す場合には狭義ではない単調増加写像を考えるとよい。 X, Y の要素に自然数を同型対応させて  X = \{1,2, \cdots, n\}  Y = \{1,2, \cdots, m\} と書くと、写像としては、

 y_1 \leq y_2 \leq \cdots \leq y_n

を満たすということだが、この条件は

 y_1 <  y_2+ 1 < y_3 + 2 < \cdots < y_n + n-1

と同値である。つまり、 X m + n -1 の個の要素がある集合  Y^{\prime} の間の狭義単調増加写像の数を数えるのと同じである。したがって、 \begin {pmatrix} m + n - 1 \\n \end{pmatrix}
を求めればよい。

雑記 (76)

すでに、整数の分割のときに使っているが、Hilbert-Poincaré 級数のために、形式的冪級数を考える。一般に可換環 A に対して、無限級数  \sum_{n=0}^{\infty}a_nT^n \, (a_n \in A)級数の収束や発散といった解析的考察には立ち入らず、形式的表現とみたとき、 Aを係数とする形式的冪級数という。形式的冪級数全体の集合に次のような和と積を演算として定義すれば、集合は可換環となり、 A[[T]]と書いて形式的冪級数環という。

 \sum_{n=0}^{\infty}a_nT^n + \sum_{n=0}^{\infty}b_nT^n = \sum_{n=0}^{\infty}(a_n+b_n)T^n

 (\sum_{n=0}^{\infty}a_nT^n )(\sum_{m=0}^{\infty}b_mT^m) = \sum_{k=0}^{\infty}(\sum_{n+m=k}a_nb_m)T^k

この和と積の定義に従って、

\frac {1}{1-T} := (1 - T)^{-1} = \sum_{n=0}^{\infty} T^n

となり、 1 - Tが単元であることはすぐに確認できる。//

 R = \bigoplus_{n=0}^{\infty} R_nを可換なネーター次数環とする。すると、 R_0ネーター環であるが、 R_0上の有限生成加群の族に加法的函数  \lambda が与えられているとする。

 R上の有限生成次数加群  M の各斉次部分  M_n は、前の記事の結果から、 R_0 上の有限生成加群である。したがって、 M_n に対して、加法的函数  \lambda(M_n) \in \mathbb{Z} が定まる。

 T不定元として、整数列

 \cdots, \lambda(M_0), \cdots \lambda(M_i), \lambda(M_{i+1}), \cdots

の形式的冪級数 (母函数)、

 P_{\lambda}(M, T) := \sum_{n \in \mathbb{Z}} \lambda(M_n)T^n

 M \lambda に関するHilbert–Poincaré 級数という。