Embraceable You

1930 年のブロードウェイ・ミュージカル、“Girl Crazy“ で Ginger Rogers が歌った。このミュージカルで彼女は一夜にしてスターダムを駆け上ったと言われている。作詞は アイラ、作曲はジョージによるガーシュイン兄弟によるもの。

1930:
Red Nichols:

1938:
Eddie Condon:

1939:
Bobby Hackett:

1940:
Judy Garland:

Bob Crosby:

1941:
Tommy Dorsey (Jo Stafford, Pied Pipers):

1942:
Hazel Scott:

1943:
Nat King Cole:

1944:
Billie Holiday:

Frank Sinatra:

1945:
Erroll Garner:

Roy Eldridge:

1948:
Judy Garland, Bing Crosby:

1949:
Charlie Parker, Lester Young:

1954:
Sarah Vaughan:

1957:
Billie Holiday:

1959:
Ella Fitzgerald:

雑記 (9)

これも線形代数の復習。


行列の行 vector の階数と列 vector 階数が一致することを示す。

その前に準備として、転置行列の関係

 (AB)^t = B^t A^t

という関係を証明する。
 
【証明】
 C = AB とする。C^t の要素 c^t_{ij}とすると、
 
 c^t_{ij}\\
= c_{ji}\\
= (a_{j1}, \cdots, a_{jk})(b_{1i}, \cdots, b_{ki})^t
 = (b_{1i}, \cdots, b_{ki})(a_{j1},\cdots, a_{jk})^t\\
= (b^t_{i1},\cdots, b^t_{ik})(a^t_{1j}, \cdots, a^t_{kj})^t
//
ここからが本題。

準同型写像  F: R^n \to R^m に対応する行列を

 A = (A_1,\cdots, A_n)

とし、像   Im F の次元、 つまり階数(rank) を  r (\leq m) とする。 Im F は、 e_1, \cdots, e_n R^nの基底としたときに、 F(e_1), \cdots, F(e_n) によって生成される空間であり、階数  r はその次元のことである。つまり、

 rank\,F = dim (Im \, F)

行列 A の各列 vector  A_1,\cdots, A_n は、 F(e_1), \cdots, F(e_n) R^mの基底で表したときの座標に相当するもので、 F(e_i) A_i は同一視される。したがって、 A_i r 個のある基底  v_1,\cdots, v_r \in R^mであらわされる。
 
 A_i = [v_1, \cdots, v_r](c_{1i}, \cdots, c_{ri})^t
 
ここで、行列  A  の  i 行,  j 列 の要素を  a_{ij} と書くことにする。
 
ここで、行列 Ai 行目の横 vector に注目すると
 
 (a_{i1}, \cdots, a_{in})=(v_{i1}, \cdots, v_{ir})\begin{pmatrix}
c_{11}&\ldots&c_{1n}\\\vdots&\ddots&\vdots\\
c_{r1}&\cdots&c_{rn}\end{pmatrix}
 
この転置をとると、

 (a_{i1}, \cdots, a_{in})^t=\begin{pmatrix}
c_{11}&\ldots&c_{r1}\\\vdots&\ddots&\vdots\\
c_{1n}&\cdots&c_{rn}\end{pmatrix} (v_{i1}, \cdots, v_{ir})^t

 (c_{i1}, \cdots, c_{in})^t = c_i とおくと、
 
 (a_{i1}, \cdots, a_{in})^t=[c_1, \cdots, c_r](v_{i1}, \cdots, v_{ir})^t


となり、行列  A の行 vector は、 r 個の vector  c_1, \cdots, c_r により生成されることがわかった。したがって、行列  Aの行 vector の階数 s は、
 
 s \leq r
 
であることが、結論される。

今度は、転置行列  A^t に対して、同じことをする。転置行列  A^t の列 vectorは、行列  A の行 vector であり、その階数は s とした。ところが、転置行列  A^t の行 vector は、上とまったく同じ議論によって、 s 個の vector によって生成されるから、
 
 r \leq s
 
である。したがって、  r = s であることが証明された。//
 
なお、

 rank\, F= dim (Im F) \\
= dim (R^n/(Ker F)) \\
=dim(R^n) - dim(Ker F)
 
という関係が存在する。なお、線形代数では同型写像のことを正則写像、対応する行列を正則行列といったりする。以下は明らかにみな同値である。

1)  F が同型写像
2) 準同型写像  F全単射
3) 準同型写像  F が逆写像をもつ
4)  F(e_1), \cdots, F(e_n) R^nの基底
5)  rank\, F = n
6)  Ker \,F = \{0\}

vector  v_1, \cdots, v_r が線形独立であるとき、 v_1, \cdots, v_i + cv_j, \cdots, v_r もまた線形独立である。また、各 vector の順番を置換しても線形独立である。また、このvector の組が生成系であるとき、前述の変換を行なってもまた生成系である。

これを線形写像に対応する行列の列ベクトルに対して適用すると、列の基本変形(行の入れ替え、行を c (\neq 0)倍する、ある行を  c 倍して他の行に加えることで、前述した線形独立性は失われない。それは、この操作が可逆な正則行列として表すことができることからも明らかである。行vector と列 vector は、双対空間を成すので、行vector に対しても全く同じ操作が可能である。ここでは詳述しないが、よく知られているように、行列の基本変形によって、 rank\, F dim (Ker\, F) を求めることができる。

一次連立方程式

 Ax = b

を解くことは、行列  A に対応する準同型写像  F_A b についての逆像を求めることと同値である。

まず、 b=0 とする。

 Ax = 0

の解は  Ker\,F_A を求めることと同値である。もっと言えば  Ker\,F_Aの基底の一組を求めて ker\,F を明示的に書くことである。

次に  b\neq 0 とする。

 b \not \in Im \, F_A だとすると、解は空集合である。

※ それを判定するためには列 vector b を行列  A の列 vector に加えたときに次元が拡大するかを調べればよい。つまり  b が一次従属ならば次元は拡大しないので、 b Im \, F に含まれていると判定できる。

したがって  b \in \, F_Aとする。今、一組の解  x_0 が求まったとし、他の解  x があれば、

 F_A(x) - F_A(x_0) = F_A(x-x_0) = 0

となるので  x-x_0 \in Ker\, F であり、解は同じ剰余類に属することがわかる。もちろん、 Ker\, F= \{0\} であれば解は一つに定まる。

雑記(8)

この記事は、線形代数の復習である。

線形写像(準同型写像)の行列表現は、線形空間に基底がとれるからこそ成立しているものであって、考えている基底を別の基底にとれば、一般的に変わる。それにもかかわらず、それはやみくもに何の法則もなしに変わっているわけではなく、背後には何か普遍的なものが存在している。
 
線形空間  K^n の基底を  e_1, \cdots, e_n とし、線形空間  K^m の基底を  f_1, \cdots, f_m とする。 K^n の任意の vector x は、
 
 x = [e_1,\cdots, e_n](x_1,\cdots, x_n)^t             
 
ここで、縦 vectorを横 vector  (x_1, \cdots, x_n)の転置で書いており、肩にある記号 t で転置であることを示す。また、 [e_1, \cdots, e_n] は、基底を縦ベクトルで書いて横に並べた行列を意味する。
 
ここではまず、準写像(線形)写像  F: K^n \to K^m は、m 行 n 列の行列の形で表されることを示す

(証明)
写像  F は、準同型写像なので、
 
 F(x)\\
= F([e_1,\cdots, e_n](x_1,\cdots, x_n)^t)
= [F(e_1),\cdots, F(e_n)](x_1,\cdots, x_n)^t

つまり、ガロア理論のときにやったように、準同型(線形)写像とは、vector である基底のみに作用するものである。ここがまず押さえるべきポイントである。
 
ここで、 F(e_j) を、R^m の基底、 f_1,\cdots, f_m で書くことを考えると、
 
 F(e_j) = [f_1, \cdots, f_m](a_{1j}, \cdots, a_{mj})^t
 
とおける。これから
 
 F(x)\\
=[[f_1, \cdots, f_m](a_{11}, \cdots, a_{m1})^t, \cdots, [f_1, \cdots, f_m]\\(a_{1n}, \cdots, a_{mn})^t](x_1,\cdots, x_n)^t
=[f_1,\cdots, f_m]\begin{pmatrix}a_{11} & \ldots&a_{1n}\\\vdots&\ddots& \vdots\\
a_{m1}&\ldots&a_{mn}\end{pmatrix}(x_1, \cdots, x_n)^t              

A = \begin{pmatrix}a_{11} & \ldots&a_{1n}\\\vdots&\ddots& \vdots\\
a_{m1}&\ldots&a_{mn}\end{pmatrix}          

とおけば、これは、m 行 n 列の行列である。

 x = [e_1,\cdots, e_n](x_1,\cdots, x_n)^t    

であったから、x の座標は、基底が  e_1, \cdots, e_n のとき、 x = (x_1, \cdots, x_n)^t であり、それが準同型写像  F によって K^mに送られると、
基底  f_1, \cdots, f_m でみた 座標  y = (y_1, \cdots, y_m)は、
 
 y = Ax
 
になっていることを意味する。//
 
逆に、 y = Axならば、準同型写像であることは簡単に示せるので、線形写像と行列表現は同値である。
 
少し、具体例をあげてみる。
 
2 次元の線形空間 R^2 (平面) を考え、基底を  e_1 = (1, 0)^t, e_2 = (0, 1)^t とする。任意の  x \in  R^2 を反時計まわりに  \theta 回転させる写像  F: R^2 \to R^2 を考えるとこの写像は線形写像であることが簡単に確認できる。行き先の基底も同じ e_1 = (1, 0)^t, e_2 = (0, 1)^t だとして、この線形写像に対応する行列表現を求める。
 
線形空間 R^2 の任意の要素は、
 
 x = [e_1, e_2](x_1, x_2)^t
 
と表すことができる。
 
 F(x) = [F(e_1), F(e_2)](x_1, x_2)^t
 
であり、写像の行く先の基底は元の基底そのままとしたから、
 
 F(e_1) = [e_1, e_2] (cos \theta, sin \theta)^t
 F(e_2) = [e_1, e_2](- sin \theta, cos \theta)^t
 
したがって、
 
 F(x) = [e_1, e_2 ] \begin{pmatrix}cos \theta & -sin \theta\\ sin \theta & cos \theta \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x_1\\x_2 \end{pmatrix}
 
さて、今度は平面 の vector を反時計まわりに  \theta 回転させるかわりに、今度は行き先の基底がもとの基底に対して 反時計回りに \theta回転していたらどういう関係になるか調べる。もとの基底を 同じように  e_1 = (1, 0)^t, e_2 = (0, 1)^t とし、 e_1, e_2 \theta回転したものをそれぞれ  f_1, f_2 と、それらを e_1, e_2 であらわすと、
 
 f_1 = [e_1, e_2](cos \theta, sin \theta)^t
 f_2= [e_1, e_2](- sin \theta, cos \theta)^t
 
なので、
 
 [f_1, f_2] = [e_1, e_2]\begin{pmatrix}cos \theta & -sin \theta\\ sin \theta & cos \theta \end{pmatrix}

これを使って先程の F の基底を  f_1, f_2 にかえてみると、
 
 F(x) \\
= [f_1, f_2] \begin{pmatrix}cos \theta & -sin \theta\\ sin \theta & cos \theta \end{pmatrix}^{-1}
\begin{pmatrix}cos \theta & -sin \theta \\sin \theta & cos \theta \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\
x_2 \end{pmatrix}
 = [f_1, f_2] \begin{pmatrix} x_1\\x_2 \end{pmatrix}

となり、あたりまえすぎる結果であるが、座標の値は変わらない。
 
それでは、今度は回転前に基底を  f_1, f_2 にかえて、回転後も基底  f_1, f_2 で表すとすると、これもあたり前だが、結果は最初と変わらない。

 F(x) = [f_1, f_2 ] \begin{pmatrix}cos \theta & -sin \theta\\ sin \theta & cos \theta \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x_1^{\prime}\\x_2^{\prime} \end{pmatrix}

 以上のことを一般化すると、元の基底  e_1,\cdots, e_n e_1^{\prime}, \cdots, e_{n}^{\prime} に変更し、行き先の基底  f_1,\cdots, f_m f_1^{\prime},\cdots, f_m^{\prime}に変更するとして、その基底変換行列  P,Qをそれぞれ、
 
 [e_1^{\prime}, \cdots, e_{n}^{\prime}] = [e_1, \cdots, e_n]P\\
 [f_1^{\prime},\cdots, f_m^{\prime}]= [f_1,\cdots, f_m]Q
 
として、新しい基底を元の基底で表した場合、

  [F(e_1),\cdots, F(e_n)]
=[f_1, \cdots, f_m]A

  [F(e^{\prime}_1),\cdots, F(e^{\prime}_n)]
=[f^{\prime}_1, \cdots, f^{\prime}_m]A^{\prime}

とおくと、最後の式と準同型写像の性質により、

 [F(e_1),\cdots, F(e_n)]P
=[f_1, \cdots, f_m]QA^{\prime}

が成立する。したがって、

 A = QA^{\prime}P^{-1} または
 A^{\prime} = Q^{-1}AP

行列  A は、新しい基底のもとで、 Q^{-1}AP に変わる(可換図式を書けばすぐにわかることだが念のため)。
 


 

雑記(7)

少し別の記事を書く。

Levi-Civita の記号は、いかにもお洒落なイタリア的記号である。

 (i, j, k) が、(1, 2, 3) の偶置換のとき、 \epsilon_{ijk} = 1
 (i, j, k) が、 (1, 2, 3) の奇置換のとき  \epsilon_{ijk} = -1
それ以外は、 \epsilon_{ijk} = 0 として、Levi-Civita の記号を定める。

※ 任意の置換は互換の積に分解できるのだった。互換が奇数個のときが奇置換、偶数個のときが偶置換である。長さ3の巡回置換は (1,2,3) = (1,3)(1,2)だからすべて偶置換である。また偶置換、奇置換は互換の分解の仕方によらず一意に定まる。

 \epsilon_{123}= \epsilon_{231}= \epsilon_{312} = 1
 \epsilon_{132}= \epsilon_{213}= \epsilon_{321} = -1//


ところで、外積  a \times b は、行列式の形式を借りて、以下のように書ける (もちろん、e_ivector なので行列式は求められない)。

 a \times b = \begin{vmatrix} e_1 & e_2 & e_3\\a_1 & a_2 & a_3\\b_1 & b_2 & b_3 \end{vmatrix}

これを行列の 1 行目をつかって余因子展開すると、

 a \times b = \begin {vmatrix} a_2 & a_3 \\b_2 & b_3 \end {vmatrix}e_1 - \begin {vmatrix} a_1  & a_3 \\b_1 & b_3 \end{vmatrix}e_2   +  \begin {vmatrix} a_1  & a_2 \\b_1  & b_2 \end{vmatrix}e_3

となる。これを

 (a \times  b)_i = \epsilon_{ijk}a_j b_k

と表すことにする。たとえば、

 (b \times c)_1 = \epsilon_{123}b_2 c_3 + \epsilon_{132}b_3 c_2  = b_2 c_3 - b_3 c_2
 (b \times c)_2 = \epsilon_{231}b_3 c_1 + \epsilon_{213}b_1 c_3  = b_3 c_1 - b_1 c_3

という具合になっている。

まず、外積に関する基本的性質を確認しておこう。

 a \times b = - b \times a

つまり、交換法則を満たさず、交代性をもっている。
これは、

 (a \times b)_i  = \epsilon_{ijk}a_j b_k = -\epsilon_{ijk} b_j a_k = - (b \times a)_i

で証明できる。また、結合法則は成立しない。

 e_1 \times  (e_1 \times e_2) = e_1 \times  \epsilon_{312} e_3 \\= e_1 \times e_3  =  \epsilon_{213} e_2  = - e_2

(e_1 \times e_1) \times  e_2 = 0

したがって、外積の三重積の括弧を外して書くことなどありえない。

次は成り立つ。

 a \times  (\alpha b + \beta c) = \alpha (a  \times  b) + \beta ( a  \times  c) \\
 (\alpha b + \beta c) \times a = \alpha (b \times a) + \beta  (c \times  a)

これは、外積が 双線形の性質を有していることを意味している。 証明は、最初だけやると

   (a \times (\alpha b + \beta c))_i \\= \epsilon_{ijk} a_j (\alpha b + \beta c)_k \\= \alpha \epsilon_{ijk} a_j b_k + \beta \epsilon_{ijk} a_j c_k\\= \alpha (a \times b)_i + \beta (a  \times  c)_i

である。

次の関係が成立する。 <>内積を表す。

  \lt e_i  \times e_j, e_k \gt = \epsilon_{ijk}


 \epsilon_{ijk}\\= \lt e_i \times e_j, e_k \gt\\= \begin {vmatrix} (e_k)_1 & (e_k)_2 & (e_k)_3\\
(e_i)_1& (e_i)_2&(e_i)_3\\ (e_j)_1& (e_j)_2&(e_j)_3\end{vmatrix}

 = \begin {vmatrix} (e_i)_1 & (e_i)_2 & (e_i)_3\\
(e_j)_1& (e_j)_2&(e_j)_3\\ (e_k)_1& (e_k)_2&(e_k)_3\end{vmatrix}

となり(二つ目は行を偶置換した)、

 \epsilon_{ijk}\epsilon_{pqr}
 = \begin {vmatrix} (e_i)_1 & (e_i)_2 & (e_i)_3\\(e_j)_1& (e_j)_2&(e_j)_3\\ (e_k)_1& (e_k)_2&(e_k)_3\end{vmatrix} \begin {vmatrix} (e_p)_1 & (e_p)_2 & (e_p)_3\\(e_q)_1& (e_q)_2&(e_q)_3\\ (e_r)_1& (e_r)_2&(e_r)_3 \end{vmatrix}

 = \begin {vmatrix} (e_i)_1 & (e_i)_2 & (e_i)_3\\(e_j)_1& (e_j)_2&(e_j)_3\\ (e_k)_1& (e_k)_2&(e_k)_3\end{vmatrix} \begin {vmatrix} (e_p)_1 & (e_q)_1 & (e_r)_1\\(e_p)_2& (e_q)_2&(e_r)_2\\ (e_p)_3& (e_q)_3&(e_r)_3 \end{vmatrix}

 = \begin {vmatrix} \delta_{ip}& \delta_{iq}& \delta_{ir}\\\delta_{jp}& \delta_{jq}&\delta_{jr}\\ \delta_{kp}& \delta_{kq}&\delta_{kr}\end{vmatrix}

となる。二つ目は転置、三つ目は |AB|=|A||B|行列式の値が変わらない性質を使った。

 r = k として余因子展開すると、

 \epsilon_{ijk}\epsilon_{pqk}\\
= \delta_{ip}\delta_{jq} - \delta_{iq}\delta_{jp}

さらに、いろいろな外積がまじった関係式を証明してみる。まず、

 \lt a, b \times c\gt = \epsilon_{ijk}a_i b_j c_k

最後の式は、行列式  det (a, b, c) に等しいことがわかる。

次は、vector 解析では有名な公式で、電磁気学などでは頻出する。

 [a \times (b \times c)]_i  \\
= \epsilon_{ijk} a_j (b \times c)_k\\                    = \epsilon_{ijk} \epsilon_{klm} a_j b_l c_m
 = \epsilon_{ijk}\epsilon_{lmk}a_j b_l c_m\\
= (\delta_{il}\delta_{jm} - \delta_{im}\delta_{jl}) a_j b_l c_m
 = a_j b_i c_j - a_j b_j c_i \\                     = b_i \lt a, c \gt - c_i \lt a, b \gt

したがって、

 a \times (b \times c) = b\lt a, c\gt - c\lt a, b \gt

結合法則は成立しなかったので、 (a \times b) \times c も求めてみると、

 [(a \times b) \times c]_i \\
= \epsilon_{ijk}(a \times b)_j c_k\\                   = \epsilon_{ijk}\epsilon_{jlm}a_l b_m c_k
 = - \epsilon_{ikj}\epsilon_{lmj}a_l b_m c_k\\
= (\delta_{im}\delta_{kl} - \delta_{il}\delta_{km}) a_l b_m c_k
= a_k b_i c_k - a_i b_k c_k\\                     = b_i \lt a_k, c_k \gt - a_i \lt b_k, c_k \gt

 (a \times b) \times c = b\lt a, c\gt - a\lt b, c \gt

つぎに、

 \lt (a \times b), (c \times d) \gt\\
= (a \times b)_i (c \times d)_i
 =  \epsilon_{ijk} a_j b_k \epsilon_{imn} c_m d_n\\
= \epsilon_{ijk} \epsilon_{imn} a_j b_k c_m d_n
 = \epsilon_{jki}\epsilon_{mni}a_j b_k c_m d_n\\
= (\delta_{jm}\delta_{kn} - \delta_{jn}\delta_{km})a_j b_k c_m d_n
 = a_j b_k c_j d_k - a_j b_k c_k d_j\\
= \lt a, c \gt \lt b, d \gt - \lt a, d \gt \lt b, c \gt

となる。

さらに、

 \lt c, (d \times (a \times b))\gt\\
= c_i(d \times (a \times b))_i\\
= c_i \epsilon_{ijk} d_j (a \times b)_k
 = c_i \epsilon_{ijk} d_j \epsilon_{kmn}a_m b_n
 = \epsilon_{kmn} a_m b_n \epsilon_{kij} c_i d_j
 = \lt (a  \times b), (c \times d)\gt\\
= \lt a, c \gt \lt b, d \gt - \lt a, d \gt \lt b, c \gt

次に、

 [(a \times b) \times (c \times d)]_i \\= \epsilon_{ijk}(a \times b)_j (c \times d)_k
 = \epsilon_{ijk}\epsilon_{jmn} a_m b_n \epsilon_{kpq} c_p d_q\\                            = \epsilon_{ijk} \epsilon_{pqk }\epsilon_{jmn} a_m b_n c_p d_q
 = (\delta_{ip} \delta_{jq} - \delta_{iq} \delta_{jp}) \epsilon_{jmn} a_m b_n c_p d_q
 =  \epsilon_{jmn} a_m b_n c_i d_j - \epsilon_{jmn} a_m b_n c_j d_i \\                           = c_i a_m \epsilon_{mnj}b_n d_j  - d_i a_m \epsilon_{mnj} b_n c_j  = c_i a_m (b \times d)_m - d_i a_m (b \times c)_m\\
= c_i  \lt a, (b \times d) \gt - d_i \lt a, (b \times c)\gt

つまり、
 (a \times b) \times (c \times d) \\
= c  \lt a, (b \times d) \gt - d \lt a, (b \times c)\gt

これだけの関係が、ほとんど機械的に導けるのだから、Levi - Civita の記号はお洒落なだけではなかった。

雑記(6)

前の記事の続き。証明の前に、まず、ごく基本的な事実を確認しておく。

アーベル群の要素  x を何でもいいから考えると、 x + x + \cdots + x ( n 個) を整数  n を使って  nx と書くことは、可逆なペアが必ず作れる(他の言葉遣いとしては、全単射、逆写像が存在するなど) 操作であって、したがって、任意の有限生成アーベル群は、整数を環とするその上での有限生成な加群と同型である。

念のためだが、「有限生成」といっているのは、ユークリッド空間の次元が3といっているようなもので、有限生成ならば、アーベル群が有限であるということは一般には成立しない。

線形代数で習ったように、線形写像(準同型写像)は行列で表すことができる。線形写像  F: K^n \to K^m は、 m n列の行列  M_{m,n}(K) で表すことができる。


それでは、証明する。

有限生成アーベル群  M の生成系を  \{x_1, x_2, \cdots, x_m\} とする(生成系であれば、全空間を張るが、一次独立とは限らない)。
いま、写像  g: \mathbb{Z}^m \to M

 g(a_{1} , a_2, \cdots, a_m) = a_1 x_1+a_2 x_2+\cdots+a_m x_m

で定める。ただし、 (a_1, a_2, \cdots, a_m) \mathbb{Z}^m を標準基底 ( (1,0, \cdots,0), \cdots, (0, \cdots, 0,1) のこと)で表したときの座標である。
写像  g が線形写像(準同型写像)であることは、すぐにわかる。また写像全射であることも明らかである(もし、この写像全単射であれば、有限生成アーベル群  M は、 \mathbb{Z}^m と同型ということであり、これは、 M が「自由部分」のみで表せるということである。そこで、 g単射ではないとする)。

 Ker\, g は、 \mathbb{Z}^m の部分空間である。 準同型定理により、 M \simeq  \mathbb{Z}^m/Ker\, g となる。

 \mathbb{Z}^m を PID上の有限生成加群とみなせば、すでに前の記事で証明したように、その部分空間は有限生成となるので、 Ker \, g も有限生成である。その生成系を \{x_1, x_2, \cdots, x_n\} として、写像  f: \mathbb{Z}^n \to Ker\, g

 f(a_{1} , a_2, \cdots, a_n) = a_1 x_1+a_2 x_2+\cdots+a_n x_n

で定めると、この写像全射である。すなわち  Im\, f = Ker\,g

 Ker \, g は、 \mathbb{Z}^m に含まれるので、 Ker \, g から \mathbb{Z}^m への自明な包含写像をもち、 f \mathbb{Z}^m への写像と見なして構わないので (つまり、 f: \mathbb{Z}^n \to Ker\, g↪︎ \mathbb{Z}^m)、

 M \simeq  \mathbb{Z}^m/Im\, f

となる。前の記事で示したように、行列 M_{m, n} (\mathbb{Z})基本変形を施していけば、いわゆるスミス(単因子)標準形になる。それは、もとの基底をうまく変換すれば、準同型写像(線形写像)  f: \mathbf{Z}^n \to \mathbf{Z}^m がスミス(単因子)標準形で行列表現できることを示している。すると、わかりやすいように、 Im f を変換された基底の座標表示として仮に表してみると、 Im f = ((n_1), (n_2), \cdots, (n_r), 0, \cdots, 0) のようになる。ここで  (n_i)イデアルを表す。この変換された基底間の対応は、もちろん元の基底間の対応と同型である。

有限生成アーベル群  M は、 M \simeq  \mathbb{Z}^m/Im\, f であったから、

 M \simeq  \mathbb{Z}^m/Im\, f \\\simeq \mathbb{Z}/(n_1) \oplus  \mathbb{Z}/(n_2) \oplus \cdots \oplus \mathbb{Z}/(n_r) \oplus \mathbb{Z}^{m-r}

となる。//

雑記(5)

PID上の有限生成加群(アーベル群)の構造定理を書くのに、有限生成加群は、有限生成 Z加群と同型であるという事実を利用する。

そうすると、PID上の有限生成加群 Mは、次の形と同型である。

 M \simeq \mathbb{Z}/n_1 \mathbb{Z} \oplus  \mathbb{Z}/n_2 \mathbb{Z} \oplus \cdots  \oplus    \mathbb{Z}/n_r  \mathbb{Z}  \oplus  \mathbb{Z}^l

ここで  n_i は 1 より大きい自然数で 各  n_i n_{i +1} を割り切る。

というものである。

 \bigoplus_{i=1}^{r}  \mathbb{Z}/n_i  \mathbb{Z} M の「捻れ部分」という。「捻れ部分」は中国剰余定理を使って素数位数の巡回群に更に分解できる。

最後の  \mathbb{Z}^l =  \mathbb{Z} \oplus \cdots  \oplus \mathbb{Z} (l個)を「自由部分」という。自由部分はもちろん有限生成された加群が有限位数ならば存在しない。

例えば位数8=2^3の有限アーベル群だったら、次の数字を割り切れるように約数を並べられる組み合わせとしては、

2, 2, 2
2, 4
8

つまり、

\mathbb{Z}/2 \mathbb{Z} \oplus  \mathbb{Z}/ 2 \mathbb{Z} \oplus \mathbb{Z}/2  \mathbb{Z}

\mathbb{Z}/2 \mathbb{Z} \oplus  \mathbb{Z}/ 4 \mathbb{Z}

\mathbb{Z}/8 \mathbb{Z}

となる。この可能な数って整数 3 の分割数である。p(3) = 3 (1+1+1, 1+ 2, 3 という風に辞書式順序に自然数を分割できる総数)だから。3は8を素数分解したときの 2 の指数である。指数が複数の場合は \prod p(m_i)である。なんでそうなるのか考えてみると、なるほどそうなる。もっとも整数の分割数  p(n) は公式が複雑である(もっと言うと 整数をm個に分割する  p_{m}(n) は更に複雑である) 。オイラーの五角数とかが出てくる。
自然数  n n = k(3k \pm 1)/2 自然数  k を使ってあらわすことができれば
 q(n)=(-1)^kとし, あらわせなければ
 q(n)=0 q(n) を定義すると、

(1 + \sum_{n=1}^{\infty}q(n)x^n)(1+ \sum_{n=1}^{\infty}p(n)x^n)=1

という恒等式が成立する。//

証明とかはまた。もっとも、すでにやったスミス標準形を求めて基底を変換するところが本質なんだけど。

雑記 (4)

元に戻って、可換環RがPID(単項イデアル整域)であるとき、有限生成のR自由加群  M の部分加群  Nはまた有限生成であることを証明する。

※ 有限次元の線形空間の部分空間は有限次元であることは保証されていたが、一般の自由加群では保証されていない。しかし、可換環Rがネーター環 (任意のイデアルが有限生成であるような可換環)であれば、有限生成(階数が有限ということ)のR自由加群の部分加群もまた有限生成であることが保証されることを証明できる。ネーター環はまだやっていないので、ここでは可換環 R がPIDの場合について証明する。PIDのイデアルは単項生成なので、当然有限生成であり、ネーター環の特別な場合である。

(証明)
有限生成自由加群 M の階数  nに関する帰納法で、その部分加群が階数  r \leq n で有限生成であることを証明する。

 n = 1 のとき、 x \neq 0 Mの基底とすれば、 M = Rx と書ける。部分加群  N \subset M について、 N = \{0\}の場合は明らかに有限生成である。したがって N \neq \{0\} とする。すると I \subset Rとして、  N = Ix と書けるが、 I R の単項イデアルであることがわかる。なぜなら、部分加群であることの定義から、 ax, bx \in N ならば、 ax + bx = (a+b)x \in N なので、 a, b \in I ならば  a+b \in I であり、さらに任意の  c \in R, ax \in N について c(ax) =(ca)x \in N であるから、 c \in R, a \in I ならば  ca \in I となるからである。環が単項イデアル整域であるので、 I は単項イデアルとなり、 I = (d), d \in R, d \neq 0 のように書ける。

ここで  N の基底は  dxであることを証明する。任意の y \in N は、また M の元であるので、 y = kx と書けるが、 k \in I より、 k=mdと表すことができ、したがって  y = m(dx) となる。したがって dx Nを生成できる。さらに  m(dx) = 0 ならば  md = 0 であるが、 R は整域であることと、 d \neq 0 より  m = 0 となって一次独立であることも言え、 dx は 部分加群の基底である。以上より  n = 1の場合については成立する。

次に、自由加群  M の階数が、 n だとし、基底を \{x_1, \cdots, x_n\}で表せば、 M の任意の要素は
 M = \{r_1x_1+\cdots + r_n x_n|r_i \in R\} と書くことができる。

またその任意の部分空間を Nとする。

いま、 M_n = Rx_n とし、 n番目の座標を取り出すことと同一視してよい自然射影  f: M \to M_n を考える(準同型写像である)。 f の核を考えてみると、

 Ker\, f = \{r_1x_1+\cdots + r_{n-1} x_{n-1}|r_i \in R\}

となっており、 Ker f M の部分空間である。部分空間の共通分はまた部分空間であることが簡単に証明でき、したがって、

 N^{\prime} = (Ker \, f) \cap N

 M の部分空間である。ここで N^{\prime} \subset Ker \, fであり、 Ker \, f の階数は  n-1 であるので、これに帰納法の仮定を適用すると、 Ker \, fの部分空間  N^{\prime} s \leq n -1 個の要素を基底として有限生成できる。

準同型定理により、

 N/N^{\prime} \simeq f(N)

が成立する。 N \subset M で、 f(M) = Rx_n であるので、 f(N) = Ix_n, I \subset R となるが、 n=1 と同じ証明で、 I は単項イデアルとなり、 I = (a) と書ける。

ここで、 a=0 であれば、 N = N^{\prime} となり、帰納法の仮定から題意は成立するので、 a \neq 0 とする。

 N の任意の要素を  \theta とすれば、 f(\theta) = kax_nとおける。
 f(\theta - kax_n) = 0 であるから、
 \theta - kax_n \in N^{\prime} となって、
 \theta - kax_n = r_1x_1+ \cdots + r_sx_s
と書けることから、

 \theta = r_1x_1+ \cdots + r_sx_s + kax_n

となり、 s+1 個の要素で任意の N の要素を生成できる。さらに線形独立性を確認するために、

 \theta = r_1x_1+ \cdots + r_sx_s + kax_n = 0 とすると、

 f(\theta) = kax_n =0

整域であることと、 a \neq 0 から  k = 0, その他の係数についても、帰納法の仮定によりすべて零になる。以上より、PIDの環上の階数  n の自由加群の部分空間は有限生成であることが証明された。//